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子どもたちの声を政治に反映させるために必要なこと

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◆子どもたちの声を政治に反映させるには

7月は参議院議員選挙、東京都知事選挙と、選挙が続きますね。私も参院選では、各政党や立候補者が掲げる政策等を見比べて、相当悩みながら投票しました。

今回の参院選から、選挙で投票できる年齢が18歳まで引き下げられたことが大きく注目されましたが、それでも子どもや若者の意見を政治に反映させていくこと、そして子ども向けの政策を充実させていくことのハードルの高さを感じます。

なぜなら大人と違って、子ども向けの施策の主な対象である18歳以下の子どもたちには選挙権がないからです。もちろん若者の投票率が低いという問題もありますが、そもそも大半の子どもたちは自分で声をあげることができません。

社会の制度を変え、子ども向けの政策を充実させていくうえで、私たちのような団体が、子どもたちの声を代弁して、国や政府に対して政策提言をすること(=ロビイング)が、とても大切になってきます。

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◆「子どもの貧困」対策の政策面の課題

日本の子どもの貧困対策の教育支援における政策面の課題は、第一に政策として教育支援を行うことができている自治体の数が全体の約半分程度にとどまっているということです。実施できない主な理由は、自治体の資金不足とボランティア不足です。

こちらの課題を解決するには、政府による自治体への補助金を増額したり、ボランティアが参加しやすい制度(例:教職課程にボランティア参加を導入する、ボランティア参加を大学の単位として認定する等)を作っていくことが必要となります。

また、教育支援の内容としても、現状は子どもの「無料学習支援」のみにとどまっていることも課題の一つです。スポーツや文化活動、体験活動、プログラミング教育等においても所得格差による教育格差が生まれていますが、それらの格差を埋めるための活動を行っている自治体は非常に少ないと言えます。

こちらに関しては、学校外教育バウチャーやICTを活用した教育支援スキーム等を通じて、自治体が解決できます。「教育支援=無料塾を作る」だけではなく、多様な教育支援の活動をメニュー化したり、政府の補助金の対象事業の枠を広げる等、制度改訂が必要です。

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◆課題解決のために-全国の教育支援団体と共同で協議会を設立-

このような課題に対して、国や政府に対する政策提言を行うために、私たちは貧困世帯の子どもの教育支援を行う全国の団体と共同で、「全国子どもの貧困・教育支援団体協議会」を設立しました。私も発起人の一人として幹事に就任し、運営に携わっています。団体間で話し合いを始めたのが4月頃で、設立は5月末。約2ヶ月弱というスピード感で進めてきました。

本協議会には、全国の30団体以上が参加しています。子どもの貧困問題を解消するために教育支援活動を行っているという共通点がありますが、地域、団体規模、支援方法も多種多様です。

地域は北海道から沖縄まで。地域の草の根のボランティア組織もいれば、法人格を持って広く展開している事業者もいます。支援方法も無料学習支援を行う団体もいれば、CFCのように学校外教育バウチャーの提供をする団体もいます。このような共通の目的を持つ全国の団体が支援活動のノウハウを共有して相互に活動を強化するとともに、声を一つにして国や政府に対する政策提言を行います。

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◆なぜ、あえての協議会なのか?

なぜ、あえて全国協議会を作ったのか?一言でいうと、国や政府にとって「無視できない存在」になるためです。これはCFCだけではありませんが、基本的に、よほど政治に対して影響力のある特殊な団体でない限り、一つの支援団体が単独で声を上げても、「何か騒いでる団体があるな」程度で、政府は簡単に無視できます。

しかしながら、全国の団体が一枚岩となって声を上げることによって、発信する力の強さ、政府に対する影響力が全く変わってきます。実際、協議会の設立総会では、政策提言プランを発表しましたが、各省庁(内閣府、文科省、厚労省)の子どもの貧困対策のキーパーソンや、子どもの貧困議員連盟の事務局長、テレビや新聞等の各種メディアが一同に集まる等、その威力の大きさを実感しました。これから、7月以降、本格的な政策提言をしていきます。

子どもの支援事業そのものにおける団体間の連携も重要ですが、このように「子どもの声を政府に届ける」という点においても、団体間の連携は大きな力を発揮します。それは、足し算ではなく、掛け算で発信力が高まっていくような感覚です。

CFCは今後も他の団体と連携しながら、子どもたちの支援事業を行うと同時に、社会の制度を変え、一人でも多くの子どもたちが十分なサポートを受けることができるよう、尽力していきます。引き続き応援の程よろしくお願いいたします。(代表理事・今井悠介)

【参考】
全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 公式サイト

毎日新聞(2016/5/30)

The Huffington Post(2016/6/1)

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