スタディ通信とは
日本の子どもたちに学習のためのクーポン(スタディクーポン)を提供してきた公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC)は、「学ぶ」を深堀るウェブマガジン『スタディ通信』を、CFC発足10年目の節目に創刊しました。これまで東北、関西、熊本、渋谷など、様々な地域の子どもたちに学びの機会を提供してきたNPOとして、今改めて「学ぶ」ことの奥深さや多様性、楽しさや難しさについて、私たち自身が学び、考えてみる、そして自ら積極的に発信し、対話につなげていく、そのための小さな場所をつくってみました。
『スタディ通信』のコンセプト
スタディ通信のコンセプトは“「学ぶ」を深掘る”です。
「学ぶ」を深掘るということは、これまで自明視してきた「学ぶ」を疑うということでもあります。時代が移り変わっていく、そして本当に多様な子どもたち、大人たちが同じ社会の中で暮らしていく。その中で“「学ぶ」とは一体何なのか?” この問いに様々な角度から向き合っていくのが「学ぶ」を深掘るウェブマガジンで私たちがやっていきたいことです。
皆さんは「スタディ」という言葉から何を想像しますか?机に向かって勉強する学生の姿?「つらい」「苦しい」など、ネガティブなイメージが浮かぶ方も多いかもしれません。
実は、“study”の語源は「没頭、情熱、熱意」という意味をもつラテン語の“studium”だと言われています。もし現在の私たちが「スタディ」や「学習」や「勉強」という言葉に没頭や情熱や熱意とは違うイメージを持っているとしたら、“「学ぶ」を深掘る”ことの意味がそこに見えてくるようにも思うのです。
今を生きる私たち、子どもたち、大人たちにとって“「学ぶ」とは一体何なのか?”。『スタディ通信』では多種多様な「学ぶ当事者」「学びを支える人々」に光を当てながら、スタディの喜びや楽しさから、苦しさ、難しさまで、捉えていきたいと思っています。読者の方と一緒に考えていきたいのは例えば以下のようなテーマについてです。
「学ぶ」と「多様性」
「学ぶ」と「働く」
「学ぶ」と「格差」
etc
これから一本一本の記事を通じて「学ぶ」を深掘っていきますのでぜひ楽しみにしていてください。第1弾記事は2018年11月8日に公開予定です。
CFCが「学ぶ」を考え、発信することを決めた理由
CFCは、2011年から、経済的困難を抱える子どもたちに、塾や習い事・体験活動等で利用できる「スタディクーポン」を提供し、教育格差を解消する取り組みを続けてきました。2017年には、「スタディクーポン・イニシアティブ」を発足し、自治体との協働プロジェクトも開始するなど、スタディクーポンの取り組みは全国で政策としても広がりを見せつつあります。
取り組みを始めた当初の私たちの思いは『お金が理由で学ぶチャンスを得られない子どもをなくしたい』というシンプルなものでした。この思いは、今も変わりませんし、未だに教育格差の問題は深刻です。今後も粘り強く取り組んでいかなくてはなりません。
同時に、この9年間の活動のなかで、様々な状況にある子どもたちと出会いました。彼らからは、「学ぶ」ということの周りに経済的格差や貧困以外にも様々なテーマがあることに改めて気づかされました。学校に行っていない、発達に凸凹がある、家族や生活面で課題を抱えている、そんな多様な子どもたちと出会ってきました。
子どもたちが育つ家庭環境やルーツ、持って生まれた個性や興味・関心は、一人一人違います。一律のものさしで評価される既存の教育システムにおいて、その枠にはまらない子どもたちの中には、自信を失い、意欲を落とし、この社会で生きづらさを感じてしまう子どもたちもいます。そして、その構造は大人にとっても同じかもしれません。
「学ぶことは、誰にとってももっと楽しいこと、ワクワクすることであってほしい」
その可能性を探るために、『スタディ通信』という小さなウェブマガジンをつくりました。いま「学ぶ」とは何なのか?一緒に考えていけたら嬉しいです。
CFC情報発信チーム|『スタディ通信』編集部
・今井 悠介(CFC代表理事)
大学在学中に不登校・引きこもりの子ども・若者の学習支援や体験活動に携わり、卒業後、KUMONを経てCFCを設立。Twitter:@imaiyusuke_cfc
・辻 和洋(情報発信チーム・ディレクター)
ライター・編集者。読売新聞社、産業能率大学総合研究所を経て、独立。大学院で人材育成をテーマに研究中(中原淳研究室)。Twitter:@kazuhiro0402
・山本 雅(情報発信チーム|スタディ通信編集部)
2014年にCFC入職。広報担当として、子ども・保護者への取材、子どもの貧困関連や教育に関する記事などを執筆。Twitter:@miyabiyamamo
・望月 優大(情報発信チーム・アドバイザー)
ライター・編集者。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。非営利団体等へのアドバイザリー業務にも従事。Twitter:@hirokim21