ニュース

【3.11から12年】震災を経験した職員として、東北への想いを次世代に繋いでいきたい(仙台事務局 武林里穂)

こんにちは。仙台事務局の武林です。本日、東日本大震災の発生から、12年が経ちました。

少し長いですが、高校2年のときに震災を経験し、現在仙台事務局で子どもたち・保護者の方や大学生ボランティアと接する中で、いま私が感じていることをお伝えしたいと思います。

■何もできなかった。後悔の念から始めたブラシスの活動

私は宮城県仙台市出身で、震災を経験したのは高校2年生の頃です。ちょうど大学受験の勉強を始めていた時期で、学校が休みだったので仙台市内にある自宅で勉強をしていたところ、今までに経験したことのない揺れに襲われました。

幸いにも家族はみんな無事で、自宅も物が倒れ散乱したものの住むことができる状態でしたが、震災後2週間ほどは電気やガスが付かず、寒さに震えながら不安な日々を過ごしたことを覚えています。

そんな中、震災直後に全国からボランティアの方が駆けつけ、避難所の運営や物資の提供等を担ってくださりました。

多くの方々に私たちの地域を助けていただいてとても有り難く思うと同時に、何もすることができずにいた自分に対し「もっと何かできたのではないか」という後悔の念を感じていたのも事実です。

震災から3年後、大学3年生の時にCFCと出会い、仙台事務局で大学生ボランティア(ブラザーシスター、通称ブラシス)としての活動を始めました。震災当時に何もできなかった分、今度は自分が何らかの形で東北に貢献したいと思ったためです。

大学在学中の2年間、ブラシスとして様々な子どもたちを担当しました。大学卒業と同時にブラシスの活動も卒業し、地域の学校で教員として2年間働きましたが、3年目には職員としてCFCに戻ってきました。ブラシスとしての立場にいた時とは異なる形で、もう一度CFCで頑張りたいと思いました。

ボランティア養成研修

(画像)大学生ボランティア養成研修での集合写真

■震災から12年。東北でも変わりつつある震災に対する意識

今、職員としてブラシスと接していると、私が活動していた当時と比較して、震災への意識は大きく変化したと感じます。

震災から10年以上が経過した今、ブラシスのメンバーは、東北の復興に貢献したいという気持ち以外にも、多様な動機や想いを持って活動に関わってくれています。

そもそも、現在活動しているブラシスは、震災が発生した当時はまだ幼くて、当時のことをよく覚えていないという子も多く、震災に対する意識もそれぞれです。

それでも、毎年3月11日にブラシスが行う仙台市内での街頭募金は、ブラシスにとっても私たち職員にとっても特別な活動です。

3.11に対する想いや経験は違えど、毎年3月のこの日は東北に想いを馳せ、自ら街頭に立って募金を呼びかける日にしたい。ブラシスに職員側から何かを伝えるということはなくとも、街頭で様々な方からお声がけをいただき、優しさに触れる経験を通じて、震災に対して自分なりの想いを持ち、次の代に繋いでいってくれたらと思っています。

常日頃から震災や東北を意識したり想いを馳せたりする機会を持つのは、簡単ではないかもしれません。それでも、CFCに関係する方にもそうでない方にも、この日のことを考える機会を持ってもらえるよう、これからも働きかけていければと思っています。


(画像)毎年3月11日に実施している街頭募金の様子。本日も実施しています(詳細)。

■今なお震災の影響が残る東北で、子どもたちをサポートし続けたい

震災から12年が経った今、東北の街やインフラの復興は進み、人々も日常生活を取り戻したように見えるかもしれません。

一方、CFCに寄せられる声からは、今なお被災された方々の暮らしに、震災の影響が色濃く残っていることも感じています。

【CFCに寄せられている声】

・「東日本大震災の避難がきっかけで、母子家庭になりました。避難生活のストレスや元々あった自分の特性のせいで体調不良になり、中学3年生から学校へ行けなくなってしまいました。」(子どもの声)

・「東日本大震災で被災し、両親も亡くしてしまい、母1人娘1人となってしまい、精神的にも経済的にも絶望的な状況でした。」(保護者の声)

・「東日本大震災の時は幼稚園の入園式がなくなり、コロナでは小学校卒業式が生徒のみ、中学校入学式の延期と、節目節目できちんと式に参加出来ない年代で、また学校行事も知らないまま、体験しないままに、3年生になります。」(保護者の声)

このような声からは、震災当時に発生した困難な状況が長期間続いたことにより、経済的困窮や健康面の課題、孤立、不登校、家庭内不和など、家庭や子どもたちがかかえる課題はより複雑化していることが窺えます。加えて、コロナ禍や物価高騰の影響も相まって、ただでさえ困難を抱える家庭が、一層厳しい状況下に置かれていることも感じています。

CFCのいち職員としては、引き続き東北地域で経済的に困難を抱える家庭や子どもたちに寄り添うとともに、複雑化した課題を抱える家庭が、CFCに限らず公的機関や適切な支援団体につながるためのサポートの一端を担うことができればと考えています。

そして、毎年のように各地で災害に見舞われる日本において、子どもたちがどこにいても「学びたい」という気持ちをあきらめることがないように、CFCの仕組みがより多くの地域で広がっていってほしいと願い、活動を続けてまいります。(仙台事務局/武林里穂)

【東北のために今できること】
オンライン募金にご協力をお願いします

募金

東日本大震災から12年。今も東北の子どもたちのためにできることがあります。
オンライン募金を通じて子どもたちの学びを応援していただけると嬉しいです。

>>オンライン募金はこちら
※yahooネット募金に移動します