子どもの貧困と教育格差
日本では約9人に1人の子どもが貧困状態。
経済的に厳しい家庭の子どもたちは、十分な教育の機会を得ることができません。
貧困の世代間連鎖を断ち切るためには、家庭の経済格差による放課後の教育格差をなくすことが必要です。
日本では、約9人に1人の子どもが貧困状態にあります
厚生労働省が2023年に公表した報告書によると、日本の子どもの相対的貧困率※1は11.5%(2021年)でした。これは、日本の子どもの約9人に1人が相対的貧困状態にあることを示しています。また、2014年のOECDのまとめ※2では、日本では、ひとり親家庭の相対的貧困率が50.8%と、OECD加盟国33カ国中、最も高い割合になっています。
※1 子どもの貧困(相対的貧困)とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調節した所得)の中央値の半分に満たない17歳以下の子どものことをいう。
※2 OECD(2014年)Family Database”Child Poverty”
- 相対的貧困とは?
- 相対的貧困とは、その国の文化水準・生活水準と比較して困窮した状態を指します。例えば、ひとり親の親子2人世帯で、月約14万円以下の等価可処分所得(手取り収入を世帯人員で調整したもの)の世帯を言います。相対的貧困状態では、その社会での「標準的な生活」を送ることができず、例えば、食事、医療アクセス、学習・教育機会等での困りごとが生じていることが多くあります。しかし、外見だけでは貧困であることの認知が難しく、これまで長年問題が放置されてきました。
家庭の経済格差が子どもの教育格差を生みます
日本では、家庭の経済格差などの家庭環境によって、子どもの教育格差が生まれています。例えば、四年制大学進学率を世帯収入別に見てみると、世帯収入の多寡で34.6ポイントもの差が生じていました。
さらに、大学進学より遡って見ると、小学6年生の時点で、すでに世帯収入の多寡による学力格差が存在していることが分かっています。2013年度の全国学力テストの結果を分析すると、世帯収入200万円未満の世帯と1,500万円以上の世帯で、学力テストの正答率に約20%の開きが生じていました。
日本の教育格差は、学校外で生まれています
このような教育格差の背景には、放課後(学校外)の教育機会の格差があります。文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、家庭が自己負担する教育支出(学習費)のうち、約6~7割が学校外活動費(学習塾や習い事等の費用)となっており、日本では、経済格差による教育格差は、放課後に生まれやすくなっています。実際、世帯収入と学校外教育支出の関係を見ると、世帯収入が高いほど学校外教育支出が多い傾向があります。世帯収入200万円未満の世帯と1,500万円以上の世帯では、学校外教育支出に約3倍もの格差が生じています。
また、2022年に行ったチャンス・フォー・チルドレンの調査でも、子どもの学習活動だけでなく、体験活動(スポーツ、文化芸術活動、自然体験や社会体験など)についても、家庭の経済状況等による格差が生じていることが分かっています。(詳細記事)
貧困の世代間連鎖が生まれています
親の経済的貧困は、子どもから学習や体験の機会を奪うことにつながります。これらの教育機会の格差は子どもの学力格差や進学格差を生み、将来的には職業選択にも影響を及ぼし、貧困の世代間連鎖を生みます。
子どもの貧困・教育格差を解決するスタディクーポン
貧困の連鎖を断ち切るためには、子どもの学習・体験機会の喪失を阻止することが必要です。私たちは、経済的に困難な家庭の子どもたちに対して、学習塾や習い事等で利用できる「スタディクーポン」を提供することで、子どもの貧困・教育格差の解決に取り組んでいます。