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バウチャー制度のメリット/デメリットとは?

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CFCが提供するバウチャーは、ご存知のとおり「学校外教育」バウチャーですが、実は社会には多くのバウチャー制度が存在し、また定着しています。今回は、そんなバウチャー制度の一例とメリット・デメリットをご紹介します。

◆そもそもバウチャーとはなにか

そもそもバウチャーとは、「目的を限定して個人に支給する補助金」という意味をもちます。現状として国や自治体が交付する補助金は、サービス供給側に提供されているものや目的を限定する仕組みになっていないものが大半を占めていますが、バウチャー制度はこのお金の流れを変え、受益者側(CFCの場合子ども)に、使途を限定して支給する仕組みです。

例えば、皆さんがお持ちの健康保険証。これは病院で提示することで3割(又は1割や2割)の自己負担となる権利証の役割をもちますが、7割分は社会保障費から支出されています。つまり、国は医療費に限定して、その7割分を国民に補助していると言い換えることもできます。同様に、出産育児一時金や教育訓練給付金等の制度でもバウチャーの仕組みが用いられています。

自治体の取り組みとしても多くの制度が存在します。例えば、東京都杉並区が交付する「子育て応援券」。これは就学前の子どもをもつ保護者に交付されるもので、一時保育、子育て相談・講座などの子育て支援サービスに利用することができます。

次に、栃木県が実施する「若年求職者バウチャー」。これは無業や不安定就労の若者に限定した、職業訓練に掛かる費用を補助する制度で、就職のための免許取得費や資格取得のための講座受講費などに利用することができます。

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◆バウチャー制度のメリットとデメリット

他にも多くの地域でバウチャー制度が活用されていますが、その利点は「選択」と「競争」と言われています。

例えば、杉並区では自分に必要な子育てサービスを自ら選ぶことができ、途中で変更することもできます【選択】。そして、杉並区の報告にもありますが、バウチャーがあることで利用先(サービス提供事業者)が増える、利用者に選択してもらえるようにサービスの質が向上するなどの効果が見込めます【競争】。つまり、地域の子育て環境そのものの改善や発展に寄与するメリットがあると考えられています。

ただし、メリットがあればデメリットもあります。1つは利用先を限定するため、100%希望するところで利用できるわけではないという点、2つ目は一定のコストが発生する点です。

前者は現金給付では発生しないため、1つのデメリットと考えられます。また後者は、使途を限定するため、どうしても供給側になる事業者の登録業務や利用券発行費用等の間接費用が掛かってきます。ただし、大阪市塾代助成事業のように紙券ではなくICカードを使ったバウチャーの例もあり、システム化によってランニングコストを抑えることは可能です。

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「貧しさとは人生を選べないこと。」

この言葉は、CFCが初めて支援をした、当時高校3年生の母親の言葉です。彼女は経済的な理由で子どもの希望する道を選択することができなかったことが何よりも辛かったと話してくれました。私たちは、このような声があがってしまう社会を変えるため、次年度以降も事業の精度向上や改善を重ね、より効果的な仕組みをつくっていきたいと考えています。本年もたくさんのご支援、ご協力をいただき、ありがとうございました。(文責:奥野慧/代表理事)

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