子どもたちはどんな状況で暮らしているのか?
以前、CFCが支援をしている子どもの母親とお話をする機会がありました。その中で伺ったお話は、「なぜ貧困状態に陥ったのか?」という点です。普段は聞くことが難しい話ですが、子どもの貧困問題を考えるうえでは、非常に重要だと感じたため、この場で少しご紹介します。
なぜ貧困状態に陥ったのか?
高校卒業後、販売業をしていた私は、当時付き合っていた男性との間に子ども(Aくん)ができました。私は子育てのため仕事を辞め、夫はサラリーマン、私は専業主婦となりました。その後さらに2人の子どもにも恵まれ、ごく一般的だけど、子どもたちと過ごす幸せな日々を送っていました。
しかし、Aが小学校にあがる頃から、夫は家庭にお金を入れてくれなくなり、後にわかったことですが、多額の借金があることも判明しました。友人などとも相談し、子どもたちのために離婚すべきかどうか、毎日悩み考える日々が続きました。
最終的には、夫に子育てをする意思がないことが決め手となりました。私は3人の子どもを連れて、Aが小学校2年生の時に離婚することを決意しました。
離婚してからは、当然生計を立てていかなければなりません。販売業と接客業、そして資格をとって介護の仕事をしていました。最初は販売業だけでしたが、独身時代とは違って、私には3人の子どもがいます。ひとつの仕事だけではとても子どもたちを養うことができません。
気づけば、ダブルワーク、トリプルワークの日々になり、どんどん仕事の時間が増え、逆に子どもたちと過ごす時間が減っていきました。
これではダメだと思い、仕事をしながら看護師の資格を取ろうと勉強を始めました。最初は順調で、忙しいながらも充実した日々でした。試験の成績もよく、このまま資格をとれれば『少しでも子どもたちに楽な生活をさせてあげられる』そんな希望すら感じることができました。
しかし、その充実した日々も長くは続きませんでした。
もともと喘息を患っていたAが、入退院を繰り返すようになり、夜間に発作がおこって病院に搬送されたりもしました。私は仕事と勉強とAの看病。そんな生活が続く中で『うつ病』になってしまったのです。
その後も、社会復帰をしてはうつ病を繰り返すようになり、現在も安定的に仕事をすることができていません。
子どもたち一人ひとりにあった支援が必要
私たちが子どもたちを支援をしていくうえで、彼ら、彼女らがどんな環境で育ち、今はどんな状況で、どんな影響を受け、また何が不足しているのかを考え、見守っていかなければなりません。
私たちが支援している東日本大震災で被災した子どもの多くは、上記のAくんのように幼い頃から貧困だったわけではありません。しかし、想像もできないような大きなショックにより、突然生活状況が一変した子どもたちです。そして、震災からの時間の経過は、問題を解決するという側面だけでなく、新たな問題を顕在化させる面もあります。
そんな状況の変化をしっかりと捉え、その子どもの状況に応じた、柔軟な支援を行っていきたいと思っています。
毎月の活動説明会で、子どもの貧困・教育格差の現状や、CFCの活動内容等について詳しくお伝えしています。
日本の教育格差の現状や、CFCの活動をより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください。