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バウチャー利用者のその後

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先日、昨年のバウチャー利用者から久しぶりにメールをもらいました。

「大学は後期に入りました。大学内での給付型留学の試験に受かり、来年後期から1年間海外留学する事になりました。今は留学コースに移行して勉強しています。CFCに出会えなければ、無かった道です。本当にありがとうございました。」

彼への支援は昨年度の1年間だったため、僕らがどこまでコミットできたかわかりません。しかし、彼曰く、家庭の状況やお金のことを考えず、将来のために勉強に打ち込めた環境があったことが最も大きかったと言います。またそれと同時に、見ず知らずの方が自分の人生を応援してくれたことが、意欲を高める原動力になったと話してくれました。

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◆バウチャー利用者の変化

初めて彼に会ったとき、彼は、「将来はお金を多く稼ぎたい」と言いました。他の子どもたちが、医者や先生という具体的な目標をもつ中、彼にはそれが一切なく、面接を担当した審査官とバウチャーを給付すべきか否かすごく悩んだのを覚えています。

正直なところ、彼が1年間で大きく学力を向上させたかと言えば、そうではないように思います。基礎学力が低く、1年の受験勉強だけではどうにもならなかったというのが客観的に見た感想でした。しかし、利用者の中で、最も変化を感じたのは彼でした。それは内面的な変化で、意欲向上というより「将来への希望を持ち始めた」というのが適切な表現のように思います。

もちろん、教育支援を行う以上、学力向上は目指すべき成果です。ただ、彼を見ていると、それだけではない精神的な成長が確かにあり、それは今後自立して生きていくうえで、すごく大きな力だと感じます。

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※イメージ画像(この話の実際のバウチャー利用者ではありません。)

僕は、社会心理学ランドルフ・ネッセの「希望は努力が報われると感じた時に生まれ、絶望は努力が無駄だと感じた時に生まれる」という言葉が好きで、よく引用しています。正に、彼はこの言葉の通り、1年間努力し、大学に合格するという成功体験によって希望をもてるようになったのだと感じます。

しかし、彼は希望を胸に大学進学を果たした一方で、世帯分離をして保護家庭から抜け、親の経済的な後ろ盾がない中で、奨学金という多額の借金を背負っている現状です。僕が特に最近気になるのは、彼のような支援を受けた子どものその後の人生です。CFCとしても今後考えていくべきテーマだと思っています。

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