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物価高への危機感。『子どもたちの学び』はぜいたく品なのか?

終わりの見えない物価高に、最近は感覚がマヒするほどになっています。先日は「日本の物価高は足元でG7最高水準である」※1という記事まで出ていました。

一方で、賃金を見てみると、春闘に含まれるような大企業では物価高を上回る5%台の賃金上昇が見込まれているのに対し、小さな企業や労働組合に入れない従業員も含めた全体の賃金上昇率は2.4%と、物価上昇率(3%程度)に追いつかない状況になっています※2

この状況には、日本社会で経済格差がさらに広がることはもちろん、経済的に厳しい家庭にとって「子どもたちの学び」が一層ぜいたく品になりかねないことにも、大きな危機感を覚えています。

経済困窮家庭では、もともと学校外で学びの機会を得ている子どもが比較的少ないため、なかなか減少率といった数字を見るのは難しいのですが、それでも、これまでの私たちの調査では8割近い経済困窮家庭が、「物価高で子どもの学習費用を削減している」と回答しています※3

「子どもに関連する支出のうち、物価高騰の影響で支出を減らした、またはあきらめた項目があれば教えてください」(複数回答)に対する回答(n=412)

2011年に東日本大震災が起きたあと、多くの被災した子どもたちが(時には大学生ボランティアが)、被災によって塾や習い事を辞めざるを得なかったことを語ってくれました。

有事の際、削られやすいのが「子どもたちの学び」であることを身に染みて実感してきた私たちだからこそ、「物価高だから仕方ない」「塾は贅沢だよね」と、静かにあきらめていく子どもたちを放置してはいけないと、強く感じています。

小学生の子どもが地元のサッカークラブに入ってみたいと願うこと。
受験を控えた中学3年生が塾でもっと勉強したいと望むこと。

これらは今の日本社会で、決して「ぜいたくなこと」ではないはずです。

子どもたちがささやかな願いを諦めずにすむよう、引き続き、この実情とサポートの必要性を社会に訴えかけてまいります。(東京事務局/山本雅)

【9/30まで】「夏の教育募金」にご協力お願いします

昨今は物価高の影響もあり、私たちのもとには毎日のように、ご家庭から支援の問い合わせが寄せられています。

そんな子どもたちに、少しでも多くの学びの機会を届けるために、『夏の教育募金』を実施します。そして今回の募金では、ご寄付とともに、子どもたちへの応援メッセージも募集します。

一人でも多くの子どもたちが希望を捨てずに学んでいけるよう、寄付と一緒に、あたたかな想いを届けませんか?皆さまの応援をお願いいたします。

>>寄付の詳細・お申込はこちら

※1 第一生命経済研究所(2025)『気がつけば、日本の物価上昇率はG7最高~消費者物価は日本が3.6%上昇、各国2%台~
※2 【春闘の賃上げ率】厚生労働省(2025)『令和7年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
【名目賃金(所定内給与)上昇率および物価上昇率(7月分)】第一生命経済研究所(2025)『実質賃金はプラス転化も一時的 (25年7月毎月勤労統計)~共通事業所ベースでは実質賃金減少継続。注目される26年春闘~』 
※3 CFC(2024)『【調査結果】物価高は、経済困窮家庭の子どもたちの学びにどのような影響を及ぼしているのか?