【実施報告】11/30(月)「被災地・子ども教育白書」発刊記念イベントのご報告
11/30(月)に、「東日本大震災被災地・子ども教育白書2015」発刊記念イベントを開催しました!
「被災地・子ども教育白書」は、被災家庭2,338件を対象に、生活や子どもの学習についてアンケート調査を行い、その結果をまとめたものです。今回のイベントは、この白書で明らかになったデータを発表し、それをもとに、専門家と今後必要な被災地支援について考える場となりました。
今回のイベントには、企業のCSR担当や行政、NPO関係者、メディアの方々など、総勢80名以上の方々にお越しいただきました。お忙しいなかご参加くださった皆さま、ご登壇いただいたゲストの皆さまには改めて、お礼申し上げます。
それでは、プログラムに沿って、イベントの内容をご報告させていただきます。
1.被災地・子ども教育白書の解説
(チャンス・フォー・チルドレン代表理事・今井悠介より)
はじめに、CFC代表の今井より、開会のご挨拶と、今回の白書で明らかになったことをお話させていただきました。今井からは、主な調査結果として以下のことが発表されました。
1)震災後に貧困に陥った子どもは、震災前から貧困であった世帯の子どもよりも学習時間が長く、大学進学を希望する割合が高かった(=被災地特有の「新たな貧困層」の発見)。
2)震災後に親の非正規労働・無職の割合や世帯所得250万未満の世帯の割合が増加した。
3)貧困世帯の子どもほど学習時間が短く、塾や習い事等の学校外教育を利用していない傾向があった。
4)被災地の子どもは全国よりも理想的な進路と現実的な進路の差が大きかった。
5)低所得世帯の子どもほど、不登校経験がある割合、安心できる居場所がない割合、自殺願望を持った経験がある割合等が高かった。
2.パネルディスカッション
~白書のデータを被災地の復興支援にどのように活かすか?~
次に、災害や法律、メンタルヘルス等の専門家をお招きし、「白書のデータを被災地の復興支援にどのように活かすか?」をテーマに、パネルディスカッションを行いました。
ディスカッションの中では、「被災地支援では、どうしてもミクロの視点になりがちになる。全体を俯瞰し、すべきことを考えるために、まずデータとして状況を明らかにすることが課題解決に必要。」といった発言がありました。
また、パネルディスカッションの最後に行った質疑応答では、会場から、CFCの支援方法の今後の発展について問う質問や、「更にこういった分析もできるのではないか?」といった意見が寄せられました。
◆パネリスト
田村 太郎 (復興庁 参与/一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事)
高橋 聡美 (防衛医科大学校医学教育部 教授)
津久井 進 (弁護士/弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所 代表社員)
能島 裕介 (特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー 理事長)
今井 悠介 (公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 代表理事)
◆コーディネーター
水谷 衣里 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 副主任研究員)
3.閉会のご挨拶
最後に、川北秀人さん(IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者)から閉会のご挨拶をしていただきました。
「被災地支援は、対処療法型から原因解消、そして仕組みづくりへとフェーズが変わっている。目の前の人たちのお手伝いに加えて、構造を理解して、同じようなことが今後もっとひどい状況で起きないようにするということも、私たちの役割である。」とのメッセージをいただきました。
私たちは、この5年で延べ1,000名以上の子どもたちを支援してきましたが、その一方で、資金的な制約から、延べ6,000名もの子どもたちに支援を届けることができませんでした。このような子どもたちの声を代弁し、より多くの方に被災地の現状を知っていただくため、今回のこの白書を制作するに至りました。
私たちとしても、より多くの方にこの白書を読んでいただきたいと思っていますので、ご興味のある方は、ぜひご購入の上、ご一読いただけますと幸いです(白書の購入はこちら)。
◆白書で明らかになった調査結果の一部が新聞に掲載されています!
今回のイベントには、たくさんの報道関係者の方もいらっしゃいました。調査結果の一部を記事にしていただき、多くの方から反響をいただいています。ぜひご覧ください。
・毎日新聞(11/30付)「被災地:教育に貧困影響 「父が非正規・無職」倍増」
・日経新聞(12/2付)「現実的な進学先「大学以上」、被災3県の中3低く 収入減影響か」
・毎日新聞(12/5)「子どもの貧困、国の支援待ったなし!!! 対策法施行からもうすぐ2年」
・毎日新聞(12/7付)「震災後に貧困、学習意欲は持続 「被災地・子ども教育白書」 公益社団法人調査」
・リセマム(12/7付)「学習時間長く、大学進学希望率が高い…被災地・子ども教育白書2015」