卒業を前に伝えたい感謝の気持ち
こんにちは、CFCブラザー・シスター(大学生ボランティア)の新山悠太です。
僕は大学3年生の春から活動をはじめ、この2年間で3人の子どもと面談をしました。勉強や習い事に一生懸命な中学生、部活動に打ち込むタイプの中学生、そして元高校野球児の高校生と、3人はそれぞれ違った個性を持っていました。今回は僕が担当していた中でも、一番関わり方に悩み、しかしその分だけ信頼関係を築けた、福島県の中学生との面談についてお話したいと思います。
◆上手くいかないことの不安・・・先輩からのアドバイスが転機に
弟や妹がいない僕にとって、年下の彼とコミュニケーションをとることは簡単なことではなく、初回の面談ではお互い緊張していたこともあって、かなりぎこちなくなってしまいました。ほかに担当していた2人の子どもは、野球や音楽など共通の話題が多くあり、初回から割と会話が弾んだこともあって、うまく打ち解けられないことに、だんだんと不安が募っていきました。
そんなとき、面談後にとある先輩のブラザー・シスターが「わからないことは聞けばいいし、相手がわからないことは紹介してあげたらいい」というアドバイスをしてくれました。「なるほど、自分は一方的に話を進めようとしていたのか」と気づくことができた瞬間でした。
それ以降の面談では、「それはどういうこと!?」とか「ちょっと教えてくれない??」と子どもに教えてもらったり、自分も「これって知ってる??」「こんなことがあったんだけどどう思う??」など、2人で一緒の時間を共有できるように意識しました。
そうして少し気持ちを楽にした結果、面談が楽しくなって、彼と話す時間も徐々に長くなっていきました。彼のお母さんが「息子も面談を楽しみにしているようです」と話してくれたこともありました。その言葉が、本当に嬉しかったことを今でも覚えています。
◆子どものひたむきな姿から思い出した自分自身の夢
彼は、中学生ながら行きたい高校のみならず、その先の大学まで考えており、将来の夢に向かって一生懸命に頑張る子です。努力の末に志望校に合格したあとも、学業のみならず、部活や習い事にも積極的に取り組む姿が印象的でした。彼と関わるたび、僕も小さいころから持っている夢に向かう途中の人間であることを思い出して、何度も勇気づけられました。
最近では、普段の生活の中で、彼に聞きたいことや、彼に紹介したい身のまわりのできごとを手帳にメモしておいたりすることも増えました。最近の面談では、かなりいろいろな話ができています。ひょんなことからお互いがボーイスカウトを経験していたということがわかり、そこから話が盛り上がったこともありました。これから先、3年、4年と面談を続けることができればもっと多くの発見があるだろうなと思うと、この3月で大学を卒業してしまうことが、とても残念に思います。
◆卒業を前に伝えたい感謝の気持ち
彼は福島県に住んでいるため、普段は仙台から電話で面談を行っていたのですが、3月に行う最後の面談は、直接会って話すことにしました。半年前くらいに彼から「直接会って話すことはできませんか?」と言われたことがありました。僕も直接会って面談をしたいと思っていたので、彼からこのような言葉を聞けたのがとても嬉しかったです。
最初で最後の直接面談ですが、そこでは、僕が2年間の面談で感じたことや実際会えて思ったこと、自分が嬉しかったこと、勇気づけられた瞬間がたくさんあったことを伝えたいと思います。
CFCの活動で出会った3人の子どもや多くの仲間たちは、みな自分の夢や希望に真っ直ぐで、前向きで、暖かい人ばかりでした。2年間の活動で少しでも誰かの役に立てたなら、これ以上のことはありません。面談をしていて、「この子のような考え方になりたいな」と思ったり、また、職員さんや仲間と話していて「この人の生き方は素敵だな」と思うことが何度もありました。
世代の違う多くの人と関われたことは、今後の人生に必ず活きてくると思っています。また、面談のほかにも、街頭募金活動や復興ワークキャンプなど多くの活動に参加することができました。東日本大震災や子どもの貧困について何もわからないまま活動を始めた僕を、仲間が優しく受け入れてくれたおかげだと思っています。これから社会人になっても、この活動を通して学んだことを誰かの役に立てて行きたいと思っています。
新山 悠太(東北学院大学 文学部 歴史学科4年)