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貧困のなかでおとなになる(書籍紹介)

親子

本著は、新聞記者である著者が2008年から2012年春にかけて、取材してきた日本の「子どもの貧困」に関する内容をまとめ、子どもたちの実情をできるだけリアルに読者に伝えようとするものです。

◆貧困は、誰のせい?

上司から任された取材を機に、日本の「子どもの貧困」の取材を始めた著者が、実際の取材を通してリアルな日本の子どもたちの実情を知っていく中で疑問や問題意識を次第に膨らませていく様子が手に取るように伝わってきます。特に読んでいて、印象的だったのは、次の言葉です。

『たまたまその人の子どもであったために、子ども時代からの不利を背負う社会は更生でしょうか。』

これまで日本における貧困問題は、「自己責任論」として片づけられてきた側面があります。しかし、子どもにまで、「自己責任論」を突きつけるのか、そんな社会で本当にいいのだろうかと著者は問います。この本を読めば、子ども時代の貧困が、その子どもの将来にどれだけ深刻な影響を与えているのかが、実感として分かるのではないかと思います。

・6人に1人が貧困家庭で育つ。
・1週間に1人が虐待で命を奪われる。
・5日に1つの学校がなくなる人数の高校中退者がいる。

そんな日本の子どもたちの現状が「データ」と「実際の取材体験」を元に丁寧に書かれています。

著者は最後にこのように記しています。

『いま、子どもの貧困を「消費される話題」で終わらせてはいけない』

この言葉の通り、単なる「一時の話題」として終らせてしまうのではなく、日本社会の一員である一人ひとりが自分の問題として捉え、自らの役割の中で問題解決のために、行動していかなければいけないのだと思います。(雑賀雄太・代表理事)

▼本の詳細
・「貧困のなかでおとなになる」(2012年10月、かもがわ出版)

・著者:中塚久美子(なかつか くみこ)
1971年生まれ。朝日新聞大阪本社生活文化部記者。家庭の貧困や学びの格差による高校中退や定時制志願者急増など、子どもの貧困関連報道で2010年「貧困ジャーナリズム賞」(反貧困ネットワーク主催)受賞。『子どもの貧困白書』(朝日書店)などに執筆。

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