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災害と子どものこころ(書籍紹介)

親子

「災害」が子どもの心にどのような影響を与えるのか、そして子どもを支えるために周りの大人はどのように行動するべきかを、本書は教えてくれます。そして、一番の特徴は、東日本大震災や阪神・淡路大震災の現場で子どもの支援に携わってきた児童精神科医等の専門家がそれぞれの経験をもとに、子どものメンタルヘルスの問題について語っている点です。また、とにかく専門用語等が少なく、非常に読みやすいのも本書の特徴です。

◆災害時の子どもへの対応は、冷静に見守り続ける必要がある

子どもは突然の災害によって、様々な影響を受けます。食欲不振・不眠・風邪をひきやすくなるといった身体的な反応、イライラする・パニック状態になる・落ち込むといった心の反応、赤ちゃん返り・わがままを言う・乱暴になるといった行動面に現れる反応等が挙げられます。

これらは災害直後に表出する子もいれば、しばらく時間が経過したときに少しずつ出てくる子どももいます。著者は、子どもへの対応は災害直後に出た反応だけにとらわれず、冷静に見守り続ける必要があると言います。

また、本書では阪神・淡路大震災で被災した子どもの事例も紹介されていますが、心に大きな傷を負うのは、決して、親や友人を亡くした子どもだけではないこともわかります。例え、家族や友人の命が無事であっても、災害時の恐怖体験、数日に渡るストレスフルな避難所生活、転校等の生活環境の変化も長期に渡って子どもたちに影響を及ぼします。本書を通じて、このような子どもたちを支えるために必要となる視点や考え方を知ることができます。

東日本大震災被災地のこれからや今後起こり得る災害に備えて、被災した子どもたちの支援のあり方をこれまで以上に深く考えたい方には是非読んでいただきたい一冊です。(今井悠介・代表理事)

▼本の詳細
・「災害と子どものこころ」(2012年10月、集英社)

・著者:清水將之、柳田邦男、井出浩、田中究
○清水將之
1934年兵庫県生まれ。児童精神科医。三重県特別顧問。
○柳田邦男
1936年栃木県生まれ。作家。
○井出浩
1952年兵庫県生まれ。児童精神科医。関西学院大学人間福祉学部教授。
○田中究
1956年兵庫県生まれ。児童精神科医。神戸大学大学院准教授。

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