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東北発の震災論:周辺から広域システムを考える(書籍紹介)

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3.11から2年近くが過ぎた今、多くの人々にとって震災が過去の出来事になっているのではないかという危惧を抱いた著者。震災被害は過去のものではなく、事態は現在進行しており、さらにこれから新しい問題さえ出てくると警笛を鳴らします。

◆「本当の復興とは被災地の人々が主体性を取り戻すことである。」

これまで復興に関する議論は日本経済の立て直しに集中しており、「経済の立て直し=被災地の復興」といった式が成り立つような感覚さえ感じてしまうものばかりだったと著者は振り返ります。

しかし、実際の被災地域の状況は様々で、津波により一切を失ってしまった場所もあれば、見えない放射能から逃げ惑わなければならない場所もあり、日本経済の立て直しといった議論からは遠く離れた、深刻な問題を抱えています。

日本経済の回復は、復興を考える上でも重要であるのはもちろんですが、本当の復興を考える上で、それぞれの被災地域が抱えるコミュニティの崩壊、放射能問題、孤立無縁といった問題、一つ一つに対して具体的な復興計画を考えていくことが重要であると本著から学ぶことができます。

本著の第5章では、「本当の復興とは被災地の人々が主体性を取り戻すことである。」と書かれています。震災後、本当に多くの支援が個人・企業・行政等からなされてきました。しかし、いつまでも支援が続くわけではありません。そこで、著者は端的な言葉で被災地にとって必要な支援が何かを示してくれます。

「被災地支援とは、支援が必要なくなるような生活に向けたものである。」

被災地支援に関わる者として常に頭に留めておきたい言葉だと思いました。

震災から2年が経過しようとする今、「被災地を主体とした復興とは何なのか。そのために自分たちにできることは何か。」ということについて考えるきっかけを与えてくれる一冊です。(雑賀雄太・代表理事)

▼本の詳細
・「東北発の震災論:周辺から広域システムを考える」(2013年1月、ちくま新書)

・著者:山下 祐介

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