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知っておきたい!養育費算定のこと―貧困母子世帯をなくすために(書籍紹介)

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2009年に厚生労働省が発表した子どもの貧困率は15.7%ですが、ひとり親家庭の子どもの貧困率は50.8%と突出しています。特に母子家庭の貧困率は高く、父子家庭の約2倍という現状があります。では、母子家庭が貧困率が高い原因は何でしょうか?その主なものは本著でも紹介されていますが、実はあまり議論されていないのが、今回ご紹介する養育費の問題です。

本著は、弁護士いう法律のプロの立場から、この養育費問題の不合理さ、改善すべきポイント、養育費確保のための諸制度、判例から見る養育費加算事例などを紹介しています。本著をご覧いただければ、貧困問題のひとつの原因が、この養育費問題にあることがご納得いただけると思います。

◆不合理の塊とも言える養育費の問題

本著の前半部分は、養育費の現状の紹介です。実際どの程度の夫婦が養育費について取り決めを行ってから離婚をしているのか?また、実際に支払われている者はどの程度なのか?そして支払われた金額はいくらぐらいなのか?このような養育費の現状をグラフなどを用いてわかりやすく解説しています。そしてそれは、本当に驚きの現状です。

そして後半は、その養育費を確保するための制度や裁判例の紹介です。こちらは前半部分と違って、当事者か興味のある人以外はとっつきにくい内容と言えます。また、最終的に制度改善に訴えているという構成で、同業者や関係機関に向けて書いている印象が強く、一般市民としてはあまり面白い内容とは思えません。

しかし、それでも皆さんに本著を紹介したのは、冒頭で触れたように、貧困問題を生んでいるひとつの原因がここにあり、そしてその問題は、不合理の塊とも言える悲惨な状況だからです。少しでもこの現状を知ることは、子ども貧困問題の解決にとって重要だと感じます。

そしてもうひとつは、誰でも当事者になったり、周りに当事者がいる可能性があるからです。前述のとおり、母子家庭の約半分は貧困状態で、母子家庭になった最多理由は離婚です。そして過去30年の婚姻数と離婚数を見ると、実に4組に1組が離婚をしている現状があります。

そう考えると、実は養育費問題は身近な問題であり、また私たちのすぐ側にいる貧困家庭は、この問題の解決によって救える可能性があります。そんな理由から今月は本著を紹介します。(奥野慧・代表理事)

▼本の詳細
・「知っておきたい!養育費算定のこと―貧困母子世帯をなくすために」(2013年12月、かもがわ出版)

・著者:大阪弁護士会貧困生活再建問題対策本部女性と子どもの貧困部会

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