ニュース

健康で文化的な最低限度の生活 1巻(書籍紹介)

money_top

今回は生活保護をテーマに描かれた漫画を紹介したいと思います。本著は区役所に就職した新人公務員である主人公が福祉事務所に配属され、生活保護を担当するケースワーカーの業務に就き、生活に困窮している人々を支援するという物語です。

◆生活保護制度でも守れない命がある

「生活保護」という言葉は、ニュース等でよく耳にすることはありますが、実際に受給している方々がどんな人で、どんなケースで困っているかを知る機会はそう多くありません。本著は、生活保護を受給されている側の事例だけでなく、ケースワーカーの視点で物語が進んでいるところが特徴的で、生活保護を受給している側とそれを支えている公的機関のそれぞれの感情や状況をわかりやすく描いています。

物語は、おばあさんとお孫さんで暮らしている家庭で、おばあさんが認知症になってしまった事例、担当している生活保護受給者が自殺してしまった事例、ダブルワークをしながら子どもを育て生活保護を脱しようとしている事例など、リアルな生活保護の実態と、いくつもの異なった事例に同時に取り組むケースワーカーの苦悩が描かれています。

この書籍を読んで感じたことは生活保護制度でも守れない命があるということです。ケースワーカーをされている方は本著では1人で100人近くのケースを担当していると紹介されています。これは東京都を舞台に描かれているので、全国平均よりは多くなっているとは思いますが、他の都道府県でも1人で多くのケースを担当されていると考えられます。そのような場合、本著でも描かれているようにケースワーカーの方が生活保護受給者1人1人としっかり向き合っていくことが難しいことがわかります。

そして我々NPOの関わり方についても深く考えさせられる1冊となりました。公的機関では広く浅く支援していく必要があり、1人1人と向き合う余裕がないということ。我々NPOは逆に一度に多くの人を支援することはできませんが、1人1人に寄り添う支援をしていかなければならないと感じました。

CFCで活動する中でも生活保護を受けている子どもたちと接する機会があります。彼ら、彼女らにも本著で描かれているようにそれぞれに事情があり経済的に苦しい状態に陥っています。

我々はそのような子どもたちに対して教育バウチャーだけではなく、ブラザー・シスターが寄り添いサポートしていくことが重要だと考えています。我々NPOがサポートできる子どもの数は少ないかもしれませんが、しっかりとそのような子どもたちと向き合いフォローしていければと思います。

本著は生活保護についての基本的な知識や事例がわかりやすく描かれています。そのため、生活保護について知りたいという方に向けたおすすめの1冊です。

【本の詳細】
・「健康で文化的な最低限度の生活 1巻」(2014年8月、株式会社小学館)

・著者:柏木 ハルコ
1969年生まれ。千葉県出身。千葉大学園芸学部卒業。日本の漫画家。

【日本の教育格差の現状についてもっと知りたいあなたへ】

毎月の活動説明会で、子どもの貧困・教育格差の現状や、CFCの活動内容等について詳しくお伝えしています。

日本の教育格差の現状や、CFCの活動をより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください。

CFC活動説明会詳細