「震災を乗り越えるためにすべてをかけた大学生活」-3.11と大学生ボランティア
CFCの大学生ボランティア(ブラザー・シスター)は、定期的に子どもたちの進路・学習相談にのり、陰ながら子どもたちをサポートしています。この春から社会に巣立った、あるブラザー・シスター卒業生からのメッセージをご紹介します。
こんにちは、ブラザー・シスター卒業生の菊田沙樹です。私は今年3月で4年間のCFCでの活動を終えました。大学生になったら『被災地のために何かをしたい』と思ってCFCの活動を始めました。4年間の様々な出来事や出会い、そして自分自身と向き合う時間のおかげで気づいたことがありました。それは『この4年間で震災を乗り越えた』ということです。
◆3.11 あの時、自分が何かを失っていたことに気づくことができなかった
3月11日の震災のとき私は高校1年生で、部活も受験勉強もこれからというときの出来事でした。小学生の頃から続けていたピアノは、レッスン代を、津波によって全壊した祖父の家の再建に充てるために辞めざるを得なくなり、さらに市の体育館をお借りして部活動をしていた私たちの部は半年ほど練習をすることができませんでした。
好きなこと・夢中になれることを震災で失い、今思うと私の高校生活はほとんど空っぽでした。家族や家を失って悲しんでいる、自分よりも辛い思いをしていた人が目の前にたくさんいたあの時には、自分が何かを失っていたことに気づくことができませんでした。
大学生になってCFCの学校外教育バウチャーで被災地の子どもたちを応援する活動に出会ったとき、これは絶対に必要なものだと思ったことをはっきりと覚えています。過去の自分がバウチャーを使ってピアノ教室に通う姿を描いていたのだと思います。
◆子どもたちが、楽しく明るい気持ちに変えてくれた
CFCでは子どもたちとの面談活動以外にも、ボランティアの学生に必要なコミュニケーションスキルを磨く研修や、被災地の現況を知るための研修ツアーなども自分たちで企画して行っています。どの企画をするときも『これは子どものためにつながる』『被災地をもっと知りたい』という思いが必ずどこかにありました。
あのときの辛い経験を乗り越えるために大学生生活のすべてをかけたといっても過言ではないほどに、この活動に尽くすことができたのだと気づきました。
そんな震災に負けたくないという気持ちを、楽しく明るい気持ちに変えてくれたのは間違いなく子どもたちです。子どもたちの成長をいい距離感で見守ることができたこと、『本当のお姉さんみたい』と嬉しい言葉をくれたことなど、一つひとつが思い出です。
ちょっとくじけることがあっても、負けずに一歩ずつ確実に夢に向かって進む彼女たちを見ていると、辛かったあの頃の自分が今の自分につながっているのだと気づくことができました。
私は4月から東京で社会人生活を送っていますが、遠く離れた場所からも子どもたちのことを応援していきたいと思っています。これまで子どもたちを応援してくださった皆さま、そして夢を追うパワーを分けてくれた子どもたちに本当に感謝しています。