「随時枠」の試行実施について~誰に支援をすべきか?~
先日、ある国際協力団体の方と話していて、「日本にある相対的貧困(⇔絶対的貧困)は、誰に支援を届けたらよいかわかりにくい」という話になりました。
彼いわく、途上国支援においては、食料や家に困っている、学校がない、医療機関がないなど、誰が何に困っているかははっきりしていると言います。対して、日本の貧困はニーズが不明確で、「果たして誰が何に困っているのだろうか?」そんな疑問をもっていると話していました。
◆子どもが利用したいと思った時に利用できる「随時枠」
そんな話を聞いた4月、創業から8事業年度目が始まったCFCでは、東北、関西、熊本の3地域で子どもたちの募集を行いますが、東北では新たに「随時枠」という応募方法を設けました。
これは、言葉のとおり随時募集を行い、随時申請を受け付け、随時クーポンを提供するという枠組みですが、初年度となる今年度は、仙台市・石巻市に居住する東日本大震災で被災した子どもたちを対象として試行的に実施します。
そもそも、この枠組みを設けることになった背景として、既存の枠組みでは年に1回の募集しかないため、例えば、募集情報をキャッチし損ねた家庭や、保護者が教育に積極的ではない家庭(または病気等で子どものケアができない家庭等)には支援を届けることが難しいという反省がありました。
そして、CFCの積年の課題として「保護者の監護・養育が十分ではない子ども」に支援が届けられていないという状況があります。これらを少しでも解決する糸口として、子どもが利用したいと思った時に利用できる、そんな仕組みが必要だと考えました。
◆創業時からの問い「誰に支援をすべきか?」
恐らく、CFCが創業からどの団体よりも時間を費やし、考えていることの1つが、冒頭の彼が言っていた「誰に支援をすべきか?」という問いであると思っています。
しかし、この数年の活動の中で、この問いの解を見つけることは非常に難しく、かつ子どもの貧困問題の解決を導くと言ってもよいほど重要なものであると感じています。
今回新設した随時枠は、まさに「誰に支援をすべきか?」という問いから生まれた、新たな対象に支援をする試みと言えます。それは、従来の枠組みで支援をしてきた子どもからのシフトではなく、CFCとして支援ができる子どもの幅を拡げるものであると思っています。
残念ながら、まだこの問いへの解は見つけられていませんが、仮説と検証を繰り返しながら、必ず、そして一刻も早くこの解を見つけていきたいと思います。(代表理事/奥野慧)