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子ども支援団体を取り巻く足元の課題

仙台事務局の鈴木です。CFCでは、今年も新規クーポン利用者募集の時期がやってきました。CFCとしては7回目、私にとっては4回目の新規募集です。

2014年の赴任当初と比較するとちょっとした嬉しい変化があります。それは子どもたちにCFCクーポン制度を紹介してくれる方が増えたことです。

◆子どもたちを支えるために必要不可欠な支援者の連携

先日も事務所に宮城県のスクールソーシャルワーカーの方からご連絡があり、「担当している学校の生徒で母親がDV被害を受け、母子支援施設で生活している子がいる。クーポン利用者の要件にあてはまるか?」といった連絡がありました。

支援を必要としている子どもたちに情報を届けるには、ソーシャルワーカーや他の支援団体の方々の協力は不可欠です。課題を抱えた保護者は情報をキャッチする力が低かったり、情報を取りに行く余裕がないことが少なくありません。そこを補ってくれるのがソーシャルワーカーや他の支援団体の方々です。

◆子どもたちを支える専門人材の不足

そんな中、最近支援者側の課題を耳にすることが多くなりました。

例えば、平成26年度の宮城県の「1,000人当たりのいじめの認知件数」は69.9件で、全国第2位となっていますが、前述のスクールソーシャルワーカー(2008年度より文部科学省が取り組み始めた事業)の設置率は22%にとどまっています。

仙台市でも5名しか配置されておらず、1名あたり約40校も担当しなければならないといった厳しい現状があります。財源や学校側の理解など乗り越えるべき課題はありますが、家庭、地域、学校をつなぎ、子どもたちのサポートをする人材の確保は急務だと言えます。

また、民間のNPOでも人材不足は深刻で、ボランティアの学生が不足して、学習支援の拠点運営が出来ないといった話を実際に耳にします。子どもたちのニーズに対して供給が追い付いていないのです。

ただ、人材不足の解消に向けた動きも見え始めました。宮城県内では教育支援を行っている複数の団体が将来の支援人材を育成するプロジェクトをスタートさせました(CFCも幹事団体のひとつです)。子ども専門のソーシャルワーカーを養成する研修を9月から実施していきますので、実際に事業が始まりましたら、改めて皆さまにも報告をさせていただきます。

子どもの貧困等の課題が急に解消することはありません。突然の不幸や天災などで生活が一変してしまうからこそ、目の前の子どもたちを支援することと、将来を見据え子どもたちをサポートできる人材・環境を増やしていくことの両方に取り組んでいくことが必要だと思います。(鈴木平/シニアマネージャー)

【参考】
・仙台市子供未来局子供育成部子育て支援課(2017)「仙台市 子どもの生活に関する実態調査 調査結果報告書」(2017.5.12.確認)

・宮城県(2015)「第1回 宮城県教育振興審議会 宮城県の教育の現状等について」(2017.5.12.確認)

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