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EdTechの躍進で学校外教育の未来はどうなるのか?

“EdTech”(=エドテック)という言葉を聞いたことはありますか?

これは、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語で、教育とテクノロジーを融合させて、新しいイノベーションを起こすビジネスの領域を指します。

例えば、スマートフォンを使って、オンライン上でいつでも家庭教師の個別学習指導を受けることができたり、学習塾に足を運ばなくても、一流講師の授業を受けることができたりするサービスが近年注目を集めています。

◆近年、急速に発展しているEdTech

スマートフォンの普及によって、インターネットにアクセスするためのハードルが下がり、人々の時間や空間の壁が取り払われつつあります。

おそらくこの流れは、今後さらに加速していくことと思います。それによって、様々なビジネス領域で変化が起こっています。(例えば、本のネット販売の普及によって、店舗を持つ書店での販売数が減少している等)

教育分野は、比較的変化が遅いという印象を持っていましたが、先日、EdTechの分野で活躍する起業家の皆さんとお話する機会があり、自分の子どもの頃とは比べ物にならないくらい進化していることを実感しました。

私が高校生の頃には、有名予備校講師の映像授業であれば存在していましたが、あくまでも先生と生徒のコミュニケーションは一方通行です。しかしながら、今はオンライン上で生徒が先生に質問やコメントをしたり、先生も生徒のコメントを拾いながら授業をするなど、双方向にコミュニケーションをとりながら進めることが可能です。

オンラインを活用した教育サービスの最大の特長は、授業料が非常に安価であることです。月々1,000円以内で受けられるサービスも珍しくありません。ただ、現状では、比較的ITリテラシーが高く、所得も高い世帯の子どもが学習塾の補助的な形でオンラインの教育サービスを活用するケースが多い印象で、まだまだ貧困家庭の子どもたちに広がっているとは言えません。

しかしながら、低価格で受けられる良質なサービスが増えることは、長期的に考えれば、教育格差の解消につながっていく良い流れだと思っています。

◆EdTechの躍進で学校外教育の役割はどう変わるのか?

一方、この流れが加速することで、オンライン以外の学校外教育機関が担う役割も変化していく可能性があると思います。学校外教育機関が今後担うべき役割とは、オンラインだけでは生み出せない価値を提供することです。

例えば学習の分野でいうと、良質なコンテンツの授業を安価で受けられるようになったとしても、子どもの意欲を高める「コーチング」のような役割は、対面の方が効果的にできるようにも思います。

あるいは、学習塾や予備校が果たす役割は、学習指導そのものだけでなく、真剣に学習に取り組む仲間がいる環境そのものだったりします。学習塾が居場所やコミュニティ的な要素を持つ場合、やはりそれは顔を合わせる場がある方が良いと思います。

また、文化活動やスポーツ、体験活動は、なかなかオンラインだけでできるものではありません。今後、オンラインを使った学習サービスが広がると、これらの活動の重要性はより高まると思います。

これらは未来の話であり、あくまでもただの予想です。正解は全く分かりません。家庭の環境に関係なく、すべての子どもたちの学ぶ機会を保障するというCFCのミッションは今後も変わりませんが、ミッションを達成するためには、社会環境の変化に応じて、自分たちが担う役割を再定義し、実現のための手法を進化させていくことが必要です。どうぞ、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。(今井悠介/代表理事)

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