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子どもの教育費は誰が負担すべきか?

2018年を迎え、CFCはプロジェクト発足から9年目に突入しました。

リーマンショック後に大学生たちが街頭募金で寄付金を集め、関西でプロジェクトを発足したのが2009年。東日本大震災を契機に法人化し、東北で被災した子どもたちに対して支援を開始したのが2011年。

私たちは、「学校外教育格差」の課題にいち早く光を当て、「学校外教育クーポン事業」という新たな解決策を作り、本当に地道ではありますが、関西や東北で目の前の子どもたちを応援し続けてきました。

そんな中、私たちがずっと社会に問いかけ続けてきたのは、「子どもの教育費は誰が負担すべきか?」という命題です。既に学校教育には公的な支えがありますが、塾や習い事などの「学校外教育費」については、家庭の所得によって大きな格差が生まれています。

入試制度の改革によって、受験対策のための塾が役割を失う可能性は十分に考えられますが、子どもたちや社会のニーズに応じて、教育の担い手が多様化する流れは止まらないと思います。子どもの教育の「担い手」が学校だけでなく、塾や習い事・子ども支援専門のNPOなど、多様化していく流れは、今後も変わらないか、さらに加速していくと考えられます。

(画像)大学生ボランティアが街頭募金で集めた寄付金でCFCのプロジェクトは立ち上がりました。

◆社会全体で子どもを支える社会を目指して

「子どもの教育費は誰が負担すべきか?」という問いに対する答えの選択肢は、大きく「本人及びその家族」か「社会全体」か、で分けられます。そして、後者の「社会全体」とは、「公費(国・自治体の予算)」と「寄付(個人・企業)」に分けられます。

この問いに対する、私の答えは、ずっと変わりません。子どもの教育費は、「社会全体」で、そして最終的には「公費」で、支えられるべきだと考えています。

もちろん、対象者の所得制限をどうするか?どのような教育事業者を対象とするか?等の議論を尽くさなければなりませんが、子どもの教育機会が家庭の経済状況に委ねられることのない状態を作るためには、学校外教育費も含めた、教育費の公的保障を目指す必要があります。

◆全ての子どもたちに支援を届けるために必要なこと

そして、現状のように、子どもの学校外教育費を家庭で負担しなければならない状況を変える第一歩として、「寄付」という形があります。あくまでも、「寄付」は「教育費の公的保障」を実現するためのプロセスという位置づけです。

私は、年々この思いを強くしています。なぜなら、この活動をしていて、毎年支援が足りていない状況を見てきているからです。実に延べ6,000人以上の子どもたちが、期待に胸を膨らませてクーポンに応募してくれているにもかかわらず、落選してしまっているという現実があります。

さらに、仮に日本全国の相対的貧困世帯の子どもに所得制限をかけて、一学年だけ支援するとした場合でも、ざっと300億円は必要となります。小学生~高校生の全学年を支援するには、この12倍。寄付金だけで、希望者全員に届くようにしていくのは、さすがに困難です。

2016年度は215名の募集に対して、1,534名の子どもたちから支援の応募が殺到
(画像)支援への応募者数と利用者数(定員)。毎年、定員を大幅に上回る子どもたちから応募が寄せられます。

◆CFCの次の10年は、新しいフェーズへ

これまでのCFCは、皆様からの寄付を原資に、目の前の子どもたちをサポートし、しっかりと子どもたちを支えることができる事業を作り上げていくフェーズでした。

そして、次の10年は、新しいフェーズに入ります。このノウハウを全国の自治体に広げ、寄付だけでなく、公費によって教育格差を埋めていきます。

既に大阪市などの一部自治体では政策導入の動きもでています。また、2017年に渋谷区で立ち上げた「スタディクーポン・イニシアティブ」の取り組みも、その布石です。この動きを一気に加速していくのが、次の10年です。

(画像)2017年に、CFCは行政・企業・NPOと協働でスタディクーポン・イニシアティブを立ち上げました

もちろん、これらは、寄付金⇒公費と、きれいに原資を「切り替える」というものではありません。皆様の寄付によって、継続的に目の前の子どもたちを支えながら、効果的な支援の調査研究、国への政策提言、自治体への政策導入支援の動きを本格的に進めていくことで、公費による自治体導入を増やし、10年以内に、教育費の公的保証を実現するという道筋です。

次のフェーズに向けて動いていくうえでも、日頃からご支援いただいている皆様の継続的な寄付が大きな支えになります。どうか、日本の新しい教育制度・社会作りを目指して、引き続きCFCの活動にご支援・ご協力をいただけますと幸いです。これからも、よろしくお願いいたします。(代表理事/今井悠介)

【CFCの活動についてもっと知りたいあなたへ】

毎月の活動説明会で、子どもの貧困・教育格差の現状や、CFCの活動内容等について詳しくお伝えしています。

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