先生でもカウンセラーでもないからこそ、子どもたちと築ける「ナナメの関係」(大学生ボランティアの声)
こんにちは、CFCブラザー・シスター(大学生ボランティア)の杉本稜弥です。
高校生まで福島県福島市に住んでいた私は、震災後も放射能の影響で長い間苦しい思いをしていました。中学生のころに所属していたサッカー部では、中学校最後の大会に向けて外での練習が十分にできなかったこと、そして、窓を開けられないため暑い教室の中で授業を受けたことが特に記憶に残っています。
そのため、自分と同様に被災した子どもたちの力に少しでもなりたいと考え、大学1年からCFCでの活動を始めました。
■理想やエゴを子どもたちに押し付けていないか?
私は子どもたちとの面談で大事にしていることがあります。それは子どもとの面談でシナリオや流れを作らないということです。
面談を始めたばかりの頃は多くの悩みがありました。「受験生に進路や勉強のことで有益な話をしなければいけないのか」「ブラザー・シスターの立場で聞くことは全部聞かないといけないのか」・・・と面談するたびにもやもやとした感情が募っていきました。
しかし、以前、担当していた受験生とのかかわりに悩んでいた自分に、ほかのブラザー・シスターが「受験生だから、とこだわらなくてもいいんじゃない?」と声をかけてくれたのをきっかけに、自分は理想やエゴを子どもたちに押し付けてしまっていたのではないかと思うようになりました。
答えのない面談に答えを求めてしまったり、自分が自分以外の姿を演じるような面談をしてしまったりするのは、子どもにとってプラスにはならないだろうと考えるようになりました。
(画像)研修での一場面。ブラザー・シスター同士の学び合いも大切な機会です。
面談の主役は子どもです。私は、その子どもが面談で話したいことが話せて、面談が楽しい、充実した時間だったと思うことができれば、それがその子にとって一番いい面談なのではないかという考えにまとまりました。
それ以降の面談では、子どもが話したいこと、聞いてほしいことをメインに面談をしています。例えば、日常的な話に加え、クーポン利用先ではうまくやっていけているか、何か生活上で困っていることはないか、といった真面目な話をするときもあります。先月の面談で話してくれた話の続きをすることもあります。
■先生でもカウンセラーでもないからこそ、子どもたちと築ける「ナナメの関係」
(画像)ブラザー・シスターは子どもとナナメの関係を築いています。
私はあくまで大学生のボランティアで、学校の先生でもなければ、カウンセラーでもありません。大人でも子どもでもない、ナナメの関係を子どもと築くことができることは、学校の先生やカウンセラーにはない強みであると考えています。
最近、普段は自分のことをあまり話さない子が、「この話を言っていいのかわからないんですが・・・」とたくさん自分のことを話してくれました。そして、話し終えた後に、「実はこの話は家族以外にしていないんです。クラスメイトに話してもちゃんと聞いてくれなさそうだし、先生にも話しづらいし。」と話してくれました。楽しそうに話す声を聞くことができ、本当に嬉しかったです。
子どもたちに面談を楽しいと思ってもらうと同時に、私を含むブラザー・シスター全員が面談を楽しめるようにしたいです。個人的には、残り少ない時間を、精一杯走り切れるように頑張りたいと思います。(杉本 稜弥/東北学院大学教養学部情報科学科4年)
毎月の活動説明会で、子どもの貧困・教育格差の現状や、CFCの活動内容等について詳しくお伝えしています。
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