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教育機関の新しいプログラム創出に寄与するスタディクーポン~就職支援プログラムでのクーポン活用事例


(画像)今回インタビューを行った認定NPO法人Switchさんの様子

前回の記事では、今年、高校3年生の男の子(Aくん)がスタディクーポンを活用して、就職支援プログラムを受講し、希望する企業に就職を決めたことについて紹介しました。

実は、この事例の背景には、もう一つの大きな成果がありました。それは、クーポン利用先となった「認定NPO法人Switch」(以下、スイッチ)さんがスタディクーポンを活用して、新しいプログラムを作ることができたということです。

今回は、Aくんに就職支援プログラムを提供したスイッチの今野純太郎さんと小関美江さんにインタビューを行い、事業の詳細やスタディクーポンで実現できたことなどについて伺いました。


(写真)認定NPO法人スイッチスタッフの皆さん。前列右が今野さん、前列左が小関さん。

◆就職支援プログラムでのクーポン活用事例

CFC山本:本日はよろしくお願いします。まず、スイッチさんの活動内容について、改めて教えていただけますか。

スイッチ今野さん:スイッチは、仙台・石巻エリアを中心に、就労・就学支援を行っている認定NPO法人です。具体的には、以下2つの事業を行っていますが、今回スタディクーポンと連携したプログラムは、若者向けの事業「ユースサポートカレッジ」の1つです。

1.「障害福祉サービス」(こころの病いを抱えた方々への就労支援)
2.「ユースサポートカレッジ」(10代~20代の若者を対象にした就労・就学支援)

CFC山本:若者の就労支援をされている背景には、どのような課題感があるのでしょうか。

スイッチ今野さん:学校に適応できない方の進路相談など、個別的な課題解決をサポートすることもありますし、高卒就職の構造上の課題にアプローチすることもあります。

例えば、高卒就職では、高校に推薦書を出してもらった1社のみを受ける形になるので、高校の先輩の就職実績がある会社に、企業理解がないまま入社してしまった結果、早期に退職してしまうというケースが多いです。

また、今回のAくんのケースでは、進学校ゆえに学校での就職サポートが充実していないという課題がありました。学校の先生も一生懸命に進路指導されていますが、学内に事例が少ないとノウハウを持った指導が難しいです。


(写真)スイッチ今野さん

CFC山本:今回、Aくんに提供した就職支援プログラムは、どのような内容だったのでしょうか。

スイッチ小関さん:初めてAくんにお会いしたときは、VRTという職業興味テストを行い、興味・関心を共有し仕事選びのアドバイスを行いました。

その後の面談でAくんは自分の夢がしっかりあり、VRTの結果と方向性にずれがないことが共有できたので、クーポンの使い方をじっくり話し合い、特に不安の大きい応募書類の書き方と模擬面接を中心に対策することにしました。

これまで模擬面接はハローワークの練習会に1度参加したそうですが、練習をしていなかったのでやり方がわからず、うまくできなかったと言っていました。

CFC山本:模擬面接は、どのようなことをするのでしょうか。

スイッチ小関さん:毎回30分面接をして、30分フィードバックをするような形で進めました。全部で6~7回ほど実施したのですが、色んなパターンで実施しましたね。面接官が女性の場合、男性の場合、一般的な質問のパターン、厳しめで突っ込んだ質問のパターンなど…。

入室マナーや話し方(声の出し方)の練習もしましたし、紙に書いた志望理由や自己PRを頭で組み立てて話す練習を行いました。自己PRは強みをしっかり整理し、表面上ではなく自分が納得して自分の良さを伝えられるよう、何度も練り直して完成させました。

Aくんは、初めは緊張して慣れない様子でしたが、諦めずに何度も練習してきてくれました。毎回こちらのアドバイスを一生懸命にメモしていて、鏡を見ながらの練習なども、家で実践してきてくれました。


(写真)スイッチ小関さん

CFC山本:たくさん練習すると自信がつきそうですね…!Aくんから内定の報告をもらったときは、どのように思いましたか?

スイッチ小関さん:内定が出たことを連絡いただいたときは、「やったー!」と事務所で声を出してスタッフと一緒に喜びましたね。Aくんは、後で丁寧に報告に来てくれたのですが、そのときの嬉しそうな笑顔は忘れられません!

その後は、まだクーポンが残っていたので、ビジネスマナーを勉強したいというご本人の希望で、社会人のマナー(第一印象、敬語や言葉遣い、電話応対、メールマナー等)を練習し、就職に備えました。

◆新しいプログラム創出に寄与したスタディクーポン

CFC山本:なぜスイッチさんは、CFCクーポンの利用先に登録してくださったのでしょうか。

スイッチ今野さん:スタディクーポンのことはずっと知っていましたが、スイッチは学習支援をしていないので、参画できないと思っていました。1年くらい前にキャリア支援にもクーポンが使えるということを知って、参画することにしました。

私たちも前々から、石巻市の生活困窮者自立支援法のもとで困窮世帯向けの就職支援をやっていたのですが、経済的に厳しいご家庭からはお金をいただくことができないので、無償でやっていたんですね。ただ、無償で実施するのは団体としても限界があったんです。そのような背景で、スタディクーポンの仕組みを活用させてもらいました。


(写真)スイッチさんの講座の様子

CFC山本:クーポンを役立てていただけて嬉しいです。今後は今回の取り組みをどのように生かしていきたいとお考えですか。

スイッチ今野さん:一年目はスタディクーポンを利用したのはAくんお一人だけなので、もっと広げていきたいです。今回のような夏休みを利用したプログラムだけでなく、冬休みを利用したプログラムの企画も検討中です。

また、最近(障害の)グレーゾーンの方が増えていると言われています。私たちは心に障がいや不調を抱えた若者の就労支援をベースとしていることもあり、18歳以上でないと就労支援の福祉サービスが受けられない現状があるので、今後、高校生で支援が必要な方がスイッチでクーポンを使う事例なども考えられます。

CFC山本:そのような事例が生まれたら素晴らしいです…!本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

◆終わりに

スイッチさんのように、経済的に困難を抱えるお子さんの力になりたいという、想いのある教育事業者さんは地域にたくさんいらっしゃいます。

しかしこれまで、そういった子どもたちを対象とした事業の難しさとして、受益者からお金をいただくことができず、寄付を集めて事業を行うか、自治体の生活困窮者支援事業を受託して事業を行うか、選択肢が限られているのが実情でした。

そんな中、今回、スタディクーポンを活用するという新しい方法で、教育事業者さんが持続的に子どもたちにプログラムを提供することができるようになったという点は非常に印象的でした。

スイッチさんのような教育事業者さんと連携し、子どもたちの進路選びの役に立てたことは、とても嬉しい事例となりました。これからも、CFCは地域の教育事業者さんと協力して、子どもたちのサポートを続けてまいります。

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