ニュース

【開催報告】CFC設立10年イベント「CFCの10年と教育支援のこれから」

2021年12月7日(火)19時から、CFC設立10年イベント「CFCの10年と教育支援のこれから」をオンラインにて開催しました。

毎年実施しているサポーター限定イベントですが、今年はCFC設立10年の特別版ということで、10年前にクーポンを利用していた卒業生、大学生ボランティア卒業生、活動にご協力くださっている学習塾の先生、専門家の皆さま等、様々なゲストの方に登壇いただきました。

当日は100名を超えるサポーターの皆さまがご参加くださり、チャットメッセージで温かいコメントなどもいただきながら、CFCの活動の価値について振り返り、共有しあう場となりました。

■第⼀部
「スタディクーポン、卒業生の今」(10年の活動報告&ゲストトークセッション)

はじめに、CFCスタッフの入安から10年間の活動実績等について報告を行いました。その後、CFC代表の今井が、10年前にクーポンを利用していた卒業生の永野大樹さん(仮名)にインタビュー形式で、当時のことや、現在のお仕事等についてお話を伺いました。

クーポン利用者卒業生
永野 大樹 さん(仮名)

・兵庫県出身。現在社会人6年目。

・クーポン利用者1期生。高校3年生の時に、クーポンを利用して予備校に通い、大学に進学。

・大学卒業後に転職支援を行う会社に就職。営業を担当。

永野さんは、「母子家庭だったこともあり、母は自分と弟のために家計の多くを費やしてくれていたが、予備校の費用は出してあげられないと言われていた。そんな中、地方のテレビ放送でCFCのことを知り、クーポンの利用に申し込んだ」とCFCとの出会いについて話してくれました。

また、現在のお仕事については、「高校3年時に就職か進学かの選択を迫られたときに、CFCに出会い、大学進学することができた。その経験から、自分も誰かの人生の大きな選択を支えたいと考えて、今の転職支援の会社に就職した」とお話してくれました。

※ご参考:永野さんへのインタビュー記事(CFC設立10年レポート)はこちらから読むことができます。

■第⼆部
「CFC、東北での10年」(ゲストトークセッション)

第二部では、様々な形でCFCの東北事業に関わってくださっているゲストが、CFCサポーターである平本雅則さんのファシリテーションのもと、活動への想いや子どもたちとの思い出等について共有してくださいました。

大学生ボランティア卒業生
坂井 ゆりあ さん

クーポンを利用している子どもたちと定期的な面談を行い、進路や学習等の相談にのる大学生ボランティアの卒業生。現在は地元・青森県の教員。

クーポン利用先
畠山 明 さん

宮城県仙台市を中心に学習塾を展開している「個別教室のアップル」代表。東日本大震災で自身が経営する教室も被災した中、CFCのクーポン利用先第1号として登録。

大学生ボランティア研修講師
佐々木 啓江 さん

盛岡市保健福祉部の就学支援相談員。福祉と教育をつなぐスタディクーポンの仕組みに共感し、CFCの大学生ボランティアに対する研修講師としてCFCの活動に協力。

CFCサポーター
平本 雅則 さん

CFCの設立から間もないころに、CFCへの寄付を決めた大手企業の元社会貢献担当。現在は、CFCサポート会員として活動に協力。

はじめに、大学生ボランティア卒業生の坂井ゆりあさんは、CFCで面談活動をしていたころ、子どもだけでなく、保護者の方とも電話で話すようになったことがあり、保護者の方が『全然しゃべる人がいなかったので良かった』と言ってくれたことや、担当の子どもが住んでいた南三陸町の港の被災状況を目の当たりにし、『できることをやらないと』と気持ちを引き締めた経験などについて、お話してくれました。

こういった面談活動に対して、大学生ボランティアの研修講師である佐々木啓江さん(就学支援相談員)は、「経済困窮世帯の子どもたちにとっては、大学生が身近にいるということ自体が進路選択の幅を広げている。また、大学生ボランティアが子どもたちと日常的なコミュニケーションを行っていることが、相談事を言語化できていない子どもたちにとって重要」と力を込めてお話してくださいました。

加えて、CFCのクーポン利用先である「個別教室のアップル」代表の畠山明さんは、大学生ボランティアや地域の教育事業者の役割について、「子どもたちにとって信頼できる大人との共有体験が子どもたちの自己肯定感の醸成などに欠かせないと感じている」と述べられました。

また、畠山さんは、福島から1時間以上かけて仙台の教室に通っている発達障害のあるお子さんや、経済的・時間的な制限が大きいひとり親のご家庭との出会いを通じて、「『学べるということ自体がありがたいことだ』と教室のスタッフたちも学ばせてもらった」とお話してくださいました。

■第三部
「コロナ禍での教育格差にCFCはどう向き合うのか」(ゲストトークセッション)

第三部では、シンクタンク研究員の喜多下悠貴さんと、CFCの社外理事である水谷衣里さんをお招きし、CFC代表の今井・奥野と、CFCのこれまでとこれからについてお話しました。

喜多下 悠貴 さん

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(MURC)副主任研究員

MURCのソーシャルビジネス支援プログラムの一環で、プロボノとしてCFCの「東日本大震災被災地・子ども教育白書2015」制作に協力。

水谷 衣里 さん
CFC社外理事、株式会社 風とつばさ代表取締役

前職であるシンクタンク(MURC)勤務当時、2013年に社会起業家を支援するプログラムのコーディネーターとしてCFCの活動に協力。現在はCFCの社外理事。

【設立初期のCFCについて】

水谷さんは、2013年に社会起業家の支援プログラムでCFCに出会ったときの印象について、「どうすれば事業の効果を出せるかということを真剣に考え、もがいていた。活動に対して悩んでもいたが、こちらから出した課題を丁寧に考えてくる真摯さがあった」と表現していました。

それに対し、CFCの奥野は、「当初クーポンを配れば教育格差は解決できると単純に考えていた。しかし、数年事業をやってみて、リーチできない子や、クーポンを活用できない子がいることに気づき、そのような子どもたちへのアプローチを考え始めた重要な時期に水谷さんに伴走してもらった」と述べました。

また、MURCの喜多下さんは、2014年にCFCに出会ったときの印象を「フェアな人たちだと感じた。白書を作るためデータ分析のお手伝いをしたが、自分たちの取組を肯定するような結果を求めてしまいがちになるところ、そうではなく、ありのままの調査結果を受け止めようという姿勢を感じた」と述べました。

【CFCの10年をどうとらえているのか】

次に、CFCの今井が「10年経って、クーポンを利用していた子どもが卒業して大学生ボランティアや寄付者になったり、協力先の企業で働いていたり、一人ひとりの役割が変わってきていることが、大きな変化だと感じる」と10年を振り返りました。

また、奥野からは「子どもたちの状況の変化に応じて、CFCの役割も変化している。東日本大震災直後は突発的な経済状況の悪化だったものが長期化していることで、不登校・精神疾患などの複雑な課題を抱える子どもたちが増えてきたと感じる。CFCの役割として、教育と福祉を繋げることが重要になっている」と述べました。

それに対し、MURCの喜多下さんは「一方で、当初からスタディクーポンと大学生ボランティアの仕組みは変わらず、継続されていることもCFCの強さだと感じる。先日、子ども庁創設に向けた子ども政策の基本方針原案に『ナナメの関係』の重要性が盛り込まれた。まさしくそれはCFCの大学生ボランティアが果たしてきた役割。これを10年前から実践していたことはやはり非常に先駆的だったと思う」とつけ加えました。

**********

今回のイベントを通じて、CFCの活動には、様々な立場の方が想いをもって活動に関わってくださっていることを改めて実感することができました。CFCに関わってくださっている皆さまには、改めて心からお礼申し上げます。

これからもCFCは、教育事業者の皆さま、自治体の皆さま、他の支援団体の皆さま等、団体内外の様々な教育・福祉関係の方たちと連携しながら、一人ひとりの子どもたちの学びをサポートしてまいります。

【CFCの活動についてもっと知りたいあなたへ】

毎月の活動説明会で、子どもの貧困・教育格差の現状や、CFCの活動内容等について詳しくお伝えしています。

日本の子どもの貧困、教育格差の現状や、CFCの活動をより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください。

>>CFC活動説明会の詳細を見る