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「一番うれしかったのは、自分なりに工夫したやり取りを喜んでもらえたこと」大学生ボランティア髙森さくらさん

CFCでは、子どもの意思決定を支える上でも重要な役割を担う制度として、大学生ボランティアが月に一度クーポン利用家庭の子どもと面談を行う「ブラザー・シスター(ブラシス)制度」を取り入れています。

法人設立当初からブラシスが活動を続けてきた仙台事務局に加え、2020年には、東京でもブラシス制度がスタートし、現在は東京事務局で35人の大学生がブラシスとして活動しています。

今回は、東京事務局のブラシス一期生として2020年から活動する、髙森さくらさん(東京海洋大学大学院/修士課程2年)に、最も印象に残っているという「絵しりとり」で会話をした面談エピソードや、ブラシスとして活動を始めたきっかけについて聞きました。

(インタビュー担当:東京事務局スタッフ 内藤日香里)

■「子どもの貧困」の課題に関心を抱き、東京事務局のブラシス立ち上げメンバーに

ー髙森さんがブラシスとして活動を始めたきっかけは?

私が幼少期を過ごした地域は、経済的な困難を抱える家庭が少なくないエリアでした。中学卒業後すぐに働き始める子も多く、子どもの貧困という課題を肌で感じる機会が多かったように思います。

私自身も、子どもの貧困と関連するニュースを意識的に見るようになり、次第に「何かできることはないか」と考えるようになりました。

そんな時、大学の先輩に誘われ、CFCでの活動をスタートしました。2020年9月、これまでブラシスが活動していた仙台に加え、新たに東京で活動するブラシスを募集していたタイミングでした。


(画像)月に一度開催している定例研修の様子。

ー東京でブラシス制度を立ち上げるタイミングで活動を始めたのですね。一期生として活動を始めた時の気持ちを聞かせてください。

自分が長らく関心を抱いていたテーマに関わることができ、また新たな活動の第一歩に関わることができるのは、素直にうれしく思いました。

一方、東京にはこれまで活動してきたブラシスの先輩がいないので、自分たちで基本的な型を作っていかなくてはなりませんでした。コロナ禍で思うように集まることができない中、職員や仙台のブラシスにオンラインでアドバイスをもらいながら試行錯誤を重ねるのは、やはり大変なことも多かったです。

ー東京の一期生として活動をはじめたばかりの頃、特に意識していたことはありましたか?

ブラシスには、活動を始める前の事前研修で、子どもの貧困やコミュニケーション、傾聴などについて専門家の先生方に学ぶ機会があります。そこで学んだことは、ブラシス全員でしっかり復習するようにしていましたね。

研修で学んだことはどれも大切なことばかりでしたが、その中でも特に「子どもの発言や考えを否定しないこと」「こちらから踏み込まないこと」の2つは、必ず守る軸にしようとみんなで話し合いました。

研修で学んだ基本的な軸をぶらさないようにしつつ、日々の子どもたちとの面談を実践する中で、自分たちなりの工夫を積み重ねて共有するように意識していました。

■自分なりに工夫したコミュニケーションを喜んでもらえた

ーブラシスとして活動してきた3年間で、様々な面談を経験してきたと思います。特に印象的だった面談はありますか?

印象に残る場面は本当にたくさんありますが、最も印象に残っているのは、2年前に担当させていただいた子とのやり取りです。

自分から話すのが苦手な子だったので、面談にはいつもお母さまが同席してくださっていました。私も、その子にとって負担の少ないコミュニケーション方法を取りたいと思い、面談の前半はいつもオンライン画面越しに絵しりとりで会話をしていました。

私は絵がすごく下手なのですが、下手な絵を見せて笑い合ううちに、少しずつ話をしてくれるようになりました。

面談をはじめて半年が過ぎたとき、いつもその子の隣にいらしたお母さまが同席されなくなり、私とその子の二人で面談をするようになりました。そして、残りの面談もわずかになってきた頃、再びお母さまが面談に同席してくださったのです。

「話すのが苦手な子ですが、これまで工夫しながらコミュニケーションを取ってくださってありがとうございました。子どもは、はじめのうちは面談に気乗りがしない様子でしたが、だんだんと髙森さんとの面談を楽しみにするようになっていたんです。」と言っていただけて。

ー髙森さんが相手の子にとって面談が楽しく安心できる時間になるように工夫したことが、お子さんとお母さまにも伝わっていたんですね。

自分なりに考え試行錯誤したうえでの対応でしたが、その子にもお母さまにも喜んでいただけたこと、その子とよいコミュニケーションを取りたいという想いがちゃんと届いていたんだなということが、本当にうれしかったです。

こちらの記事では、日頃子どもたちと接する上で意識していることや、髙森さん自身が思うブラシス制度の価値について聞きました。ぜひご覧ください。>

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