法人設立12年を迎えて(代表理事 奥野 慧)
こんにちは。代表理事の奥野です。
6月20日で、CFCは法人設立から12年を迎えました。皆さまの日頃からの温かいご支援に、心から御礼申し上げます。
CFCの12年の歴史の中で、様々なチャレンジ、試行錯誤がありましたが、私自身が熱量をもって取り組んできたことの1つが、「どうやって子どもたちに学びを届けるか?」だったように思います。
■現場で子どもたちを支える方々から得た気づき
今思えば本当に浅はかですが、設立当時はクーポンを配れば子どもたちに支援が届き、学びの機会を提供できると考えていました。
しかし、当然ながらそんなに簡単なことではなく、どこに届けるべき人がいて、どうしたら繋がることができるのか、そのためには何が必要か…。一つひとつの課題を解消していくことが必要でした。
そんな我々に、重要な気付きを与えてくれたのは、石巻市で生活困窮家庭の若者の支援を行っているNPO法人TEDICの創業者である門馬 優さんや、盛岡市就学支援相談員の佐々木 啓江さんなど、現場で子どもたちを支える方々でした。(設立当初のクーポン制度を「仕組みはいいけど、困難を抱える家庭にとって使いづらい」と門馬さんに言われたことを、今でもよく覚えています。)
彼らに出会い、ニーズを聞くまで、我々はクーポンを子どもたちの保護者に届け、保護者が子どものために使うことを想定したアプローチをしていました。これはある意味では正しい方法ですが、一方で、家庭環境や発達の程度といった事情から、どうしても自分の意思を示すのが難しく、学びの機会が届きにくい子どもたちもいます。
そんな子どもたちに伴走する門馬さんや佐々木さんのような支援者を通じてクーポンを届け、彼らが子どものためにクーポンを使えるようにしていく。この視点が欠けていました。
■子どもの声に耳を傾け、意思を尊重する仕組み
今までの発想の転換が必要でしたが、これこそがスタディクーポンをよりよい制度に変えていくために重要なアプローチでした。なぜなら、周りのプレーヤーを見渡すと、福祉的なサポートを行う方々、多様な教育を提供する団体はあっても、福祉と教育を繋ぐ機能は圧倒的に不足していたからです。
その後、門馬さんや佐々木さんのサポートもあり、CFCではソーシャルワーカーや児童相談所、不登校支援NPOなどの、地域の支援団体がクーポン利用者を推薦する「推薦制度」という、新たな枠組みを作り、福祉と教育を繋ぐアプローチを続けています。
この4月には、こども基本法が施行され、子どもの権利が法律に明記されました。今後はより、子どもの意思が尊重され、政策等にも反映されていく流れが期待されています。前述の推薦制度も、CFCが今まで取り組んできた大学生ボランティアによる面談も、子どもの意思に耳を傾け、その決定を支える制度です。
今後は、こういった子どもを主体とした取り組みがさらに重要になっていくと思います。
日ごろからCFCの活動を応援してくださっている皆さまには、これからも私たちと一緒に、子どもたちを見守り、歩んでいただけたら幸いです。
13年目のCFCも、どうぞよろしくお願いいたします。
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