法人設立13年を迎えて ~新たな「体験」保障の取組みと、変わらぬ「学び」支援の充足を目指して
代表の今井です。本日6月20日、CFCは法人設立から13年を迎えました。いつも温かいご支援をいただき、心から感謝を申し上げます。
あらためて振り返ってみると、この1年間は、CFCの活動の原点に立ち返った年でした。
子どもの「体験」保障を社会の共通認識に
私たちは、経済困窮家庭の子どもたちの学びをサポートする「スタディクーポン」事業を10年以上にわたり継続し、事業の深化に取り組んできました。
その一方で昨年7月、子どもの「体験格差」に関する調査結果を公表し、「体験格差」の解消をめざす新事業「ハロカル」を本格的にローンチしました。
子どもたちがこの社会で健やかに生きていくために、机の上での学びに限らず、スポーツや文化芸術、自然と触れあったりする「体験」も含む、多様な学びの機会を保障したい。その想いは、CFCの活動が関西で始まった頃から一貫した活動の原点です。
しかし、子どもの「体験」の重要性や、その機会格差の問題については、長年にわたり見過ごされてきました。社会の価値観としても、子どもの衣食住や学習・進学と比べ、「体験」は必要性が十分に認識されているとは言いがたいのが現状だと感じます。
主に、子どもたちの学習の機会を支える「スタディクーポン」事業を始めて約10年。今、活動の原点に立ち返り、子どもの「体験」を社会全体で支えていくべきではないか。
そんな想いから「ハロカル」を立ち上げ、東京、沖縄、岡山、石巻の4つの地域で展開をはじめました。
昨年9月には、「ハロカル」をモデルとした初の政策事例として、長野市で子どもの「体験」を後押しする事業が始まりました。また、今年は新たに北海道のNPOと連携したトライアル事業もスタートします。設立14年目を迎えるこの1年も、引き続き自治体や各地NPOと連携しながら、「体験格差」の解消にむけた取り組みを広げていきます。
また、4月に出版した書籍『体験格差』を通じ、社会全体で課題意識を共有し、議論を深めていくこと、そして、子どもの「体験」が衣食住や学習と同じく保障されるべきものという社会の共通認識を形成することにも、引き続き挑戦していきます。
スタディクーポンによる支援の「質」を担保するために
2024年度は、CFCが3年に1度策定している中期計画(2022年度~2024年度)の最終年にあたります。
前回の中期計画を策定してから3年間で、社会を取り巻く環境は大きく変化しました。特に、長らく続いたコロナ禍が収束し、人や社会と交流する機会が徐々に戻ってきた反面、コロナ禍や物価高により深刻なダメージを受けた経済困窮家庭との格差は、ますます広がりやすくなっていると感じます。
一方、3年前と比べて「子どもの学びを政策として支えていこう」という機運は高まりを見せています。スタディクーポン事業の政策化も年々広がり、今年度CFCでも新たな自治体との協働が決定しました。
こうした社会環境の変化をふまえると、CFCが今後果たすべき役割も、向こう3年間で大きく変化していくのではないかと感じています。
具体的には、支援人数や地域の拡大、自治体の政策導入の推進などの「量」的な拡大のみならず、拡大する事業の「質」を担保する仕組みをいかに構築するかを考える必要があります。
子どもたち一人ひとりに寄り添った学びの機会を保障するという「質」の担保を考えるうえでは、子どもたちの想いに耳を傾け、すくい上げる大学生ボランティア(ブラシス)の存在も欠かせません。
「子どもの意思を尊重する仕組みをいかに構築し、子どもたち自身が望む学びにつなげることができるか。」
次の中期計画の策定に向けて、CFC設立当初から問い続けてきた、このテーマにもう一度立ち返り、CFCが果たすべき役割を見つめ直す1年にしていきたいと思います。
14年目も、スタッフと共に全力で活動に取り組んでまいります。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。
【新事業「ハロカル」について
もっと知りたいあなたへ】
6/26(水)に「書籍『体験格差』刊行記念トークイベント ~地域で子どもの体験を支えるには?~」を開催します。
子どもの体験格差の現状や、CFCが展開する子どもの体験奨学金「ハロカル」の活動をより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください!