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「子どもの貧困フォーラム~貧困と教育格差~」(第二部)

こんにちは!

先日開催した「子どもの貧困フォーラム~貧困と教育格差~」の詳細(第二部)をお伝えします。

第二部は、70分間のパネルディスカッションでした。コーディネーターを武井敦史さん(兵庫教育大学准教授)、パネリストを中塚久美子さん(朝日新聞記者)・首藤広道さん(大阪府立高校教員・全国高校生活指導研究協議会大阪支部)が担当しました。

まず最初に、首藤さんが高校での現状をお話しされました。周囲の大人が、苦しむ子どもを助けてあげられない現実が浮かび上がりました。教師の問題としては、学校生活や勉強について「できない子は仕方がない」という認識を持ってしまうことがあります。背景にある貧困の問題にまで考えが及ばず、気付いたとしても「何もできない」ため、結局家庭の責任になってしまいます。また家庭でも、親が子どもに対し、自己責任として「自分で何とかしろ」と言うこともあるそうです。自己責任のもとで子どもたちは教育から離れていくように見えているのです。
そして、このようにして教育課程から排除された子どもたちの「その後」がわからないことが問題です。学校はそのような子どもたちを福祉につないでいく、福祉は教師と協力していくことが重要だと首藤さんは強調されていました。

首藤さんのお話を受けて、武井さんが「親へのアプローチ」についてお話しされ、会場に対して問いかけをされました。貧困家庭の親のほとんどは、子どもや学校の情報を持たず、自分からアプローチもできません。この問題に対して、会場のNPO関係者の方から、「あるべき親」像を押し付けることより、実際に家庭が求めている支援を提供していくことが重要であるという意見が出ました。また、保育士の方によれば、親は逃げ道への情報(生活保護を受けていれば無料になるものなど)はよく知っていますが、それだけだと子どもたちに対して「働く」とはどういうことなのか伝わりません。自治体によっては、福祉、教育、医療の連携が進んでいるところもあるそうです。家庭を取り巻く環境のつながりが大切です。また、大学教員の方からは、大学生のお話が出ました。大学によっては、経済的な理由での退学が非常に多いようです。やる気のある学生はアルバイトを頑張りますが、生活は大変です。夢がない、意欲がない、という学生の姿が見られるそうです。

会場からは、非常に多様な意見やお話が寄せられました。共通していることは、子どもを取り巻く環境が問題であるということです。教育、福祉、医療が連携して家庭を支えていくことが、子どもを取り巻く環境を良くしていくことにつながります。

長くなりましたが、フォーラムの内容を皆様と共有できたかと思います。問題について、予想以上に様々な立場の方のお話が聞けました。子どもを取り巻く環境の連携が重要だという話がありましたが、今回、会場が一体となり「子どもの貧困」問題を通して小さなつながりが確かにできたと思います。