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支援活動の成果を測るために、重要なポイントとは?

CFCに寄付をしてくださっている方々にとって、「寄付金がどのように使われたのか」「その活動が支援を受けた人・地域にどのような影響を与えたのか」ということは、気になる点なのではないでしょうか?

CFCは外部の専門家に委託して支援活動の効果測定に取り組んでいますが、今回は、評価にあたって私たちが重要視しているポイントをお伝えしたいと思います。

■CFCが「外部評価」を取り入れている理由

これまで、自治体の教育政策やNPO等の教育支援活動は、その活動の成果を「自己評価」するのが一般的でした。しかしながら、CFCは支援活動の評価を「外部の専門家」に委託しています。これは「外部評価」と呼ばれるもので、海外のNPO等では一般的に行われているものですが、日本でこの手法を用いている団体は非常に稀です。

一般的に外部評価が取り入れられない理由は明確です。それは、外部評価の結果は、必ずしも自分たちの団体にとって都合の良いものになるとは限らないためです。一方、自己評価であれば、ある程度都合の良いデータ(「こんなに良い成果が出ました!」というデータ)を出すことができます。

では、なぜCFCはあえて外部評価を取り入れているのでしょうか?理由は二つあります。

1.支援者の方への説明責任

一つは、寄付者や支援者の皆様に対する説明責任を果たすためです。

この活動は個人や企業からの寄付金や助成金で成り立っています。私たちはその寄付がどのように使われて、子どもたちや社会にどのような影響を及ぼしたのかを「説明する責任」があります。私たちはこの活動を心から応援してくださる皆様に対して正直でありたいと思っています。

大規模災害

2.真に教育格差を解決するために

もう一つの理由は、本気で国内の教育格差の問題を解決するためです。

残念ながら自己評価でいくら「良い成果を出すことができました」と言ったところで、多くの人は納得しません。日本中の人々に活動のミッションや支援手法の有効性について共感してもらい、より多くの子どもたちへの支援を実現させるためには、客観的で信頼性のあるデータがどうしても必要になります。

そして、初めから完璧な制度や完璧な事業モデルは存在せず、どのような事業でも改善できる点はあると思います。事業の課題を明確にし、より良い事業や制度を作っていくためには、自分たちの活動への客観的な評価と真正面から向き合う必要があります。

■短期的な成果にとらわれてはいけない

現在、慶應義塾大学の赤林英夫教授(教育の経済学専攻)他、複数の専門家の先生方が、CFCの事業評価・分析チームを結成し、CFC東日本でバウチャーを受け取った子どもたちとその他の被災された子どもたちを対象として、継続的な学力テストと心理アンケートを行っています。最終的には調査の結果を分析し、それらを公表する予定です。

正直、どのような結果が出るかは分かりませんが、このような調査を行うことが確実に良い支援に繋がっていくものだと信じています。また自分たちの活動に自信を持って取り組む一方で、「本当に今の方向で間違っていないか」という純粋な意味での疑問をもちながら取り組むことは、とても大事なことなのではないかと思っています。

最後に、一つ忘れてはいけないと思うのは、「教育支援の成果は短期間で全てが測れるわけではない」という視点です。例えば1年で学力面の成果を上げようとすれば、単純なドリルを強制的にさせ続ければ一定の成果を上げることが可能です。

しかしながら、それによって子どもたちが「勉強嫌い」になってしまえば、長期的には彼らは学習から離れてしまうことになり、その支援活動は失敗だったということになります。だからこそ、短期的な成果だけにとらわれず、「どんな大人になってほしいか」という長期的なビジョンを持って活動に取り組んでいくこと、子どもたちの状況を長期的に把握していくことが重要だと考えています。

■事業評価レポートを公開しています

2017年10月に、最新の事業評価レポート(中間報告書)を公開しました。本レポートでは、クーポン利用者は統計的に有意に学業成績が上昇している傾向が確認できています。ご関心のある方は、ぜひご覧ください。

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※当コラムは、CFCメールマガジンのバックナンバー(2012年11月号)です。