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大学進学率の都道府県間格差 その要因は?

先日、平成29年度学校基本調査の速報値が公表されました。

近年では日本全国の高校生のうち半数以上が進学していますが、今回の調査でも、現役生、過年度卒業生ともに、大学(学部)進学率が過去最高(全国平均54.7%)をマークしたことが明らかになりました。

しかし、大学等進学率を都道府県別に見てみると、また少し違った状況が見えてきました。京都府(66.2%)や東京都(65.9%)など、7割に迫ろうかという地域がある一方、沖縄県(39.5%)や鳥取県(42.3%)を始め、全国平均の54.7%を大幅に下回る地域も少なくないのです

◆大学等進学率の都道府県間格差 その要因は?

なぜ、このような差が生じているのでしょうか。

過去のデータをもとに、その理由を分析した2つの論文(上山(2011)、園部(2017))を参照してみると、時代や性別によって違いはあるものの、大学等進学率に影響を与えているいくつかの要因が挙げられています。

中でも共通して述べられていたのが、近年では「大学(または高等教育)収容率」そして「経済水準」による影響が見られるという分析結果でした。

1.大学収容率

収容率とは、都道府県ごとに、高校卒業の年齢になる子どもたちの人数に対し、地元の大学等の入学枠がどの程度あるのかを測るものです。

この収容率が低い都道府県では進学率も低くなる傾向があると述べられており、上山(2011)によると、地元に留まって進学する傾向にある女子に対して特に強く影響しているようです。

ちなみに、園部(2017)によると、収容率が“1”を超えている、つまり地元の子どもたち全員分以上の入学枠を設けられているのは、東京都と京都府のみだそうです(どちらも進学率の高い地域です)。

私個人も大学時代を京都で過ごしましたが、確かに大規模な大学がいくつもあり、古都である反面、若い学生の街だなぁ、という印象を持ったのを思い出します。

2.経済水準

経済水準は、2つの論文とも共通して、都道府県ごとの県民所得(個人所得+企業所得)によって測られていました。地元で働く人の所得が高かったり、地元企業の業績が好調であったりするほど、その都道府県の大学等進学率も高くなるそうです。

上山(2011)では、この経済水準が前述の収容率に影響を与えている面もあり、これらの相乗効果が近年強まっているという分析もありました。経済が潤い、個人所得が高いところに大学等も集まり、それによって都道府県間の格差がますます増大しているというのです。

◆生まれ育った環境が子どもたちの教育機会を妨げない社会へ

他にも、親世代の学歴や、職業構成(ホワイトカラーの割合)など様々な要因が大学等進学率に影響し、都道府県間の格差を生んでいると2つの論文で示されていましたが、収容率や経済水準を含めたどれもが、当事者である子どもたちにはどうすることもできない不可抗力です

特に、経済的な環境の差が大学等進学率にも影響を及ぼしているとの分析結果は、CFCの活動における課題「経済格差による教育格差」と似通った部分があり、非常に気になるところです。

すべての子どもたちが、生まれ育った環境に左右されず、自身の興味関心に合った教育・進学の機会を得られる社会を強く望みます。(関西事務局員/吉岡 新)

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【参考文献】
・文部科学省(2017)「学校基本調査-平成29年度結果の概要-」http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1388914.htm
・上山浩次郎(2011)「大学進学率の都道府県間格差の要因構造とその変容: 多母集団パス解析による4時点比較」『教育社会学研究』88 207-227。 http://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/88/0/88_207/_pdf
・園部香里(2017)「教育環境が高等教育進学率におよぼす影響―都道府県間格 差の要因分析」『教育・社会・文化研究紀要』第17号。 http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/219145/1/sse_017_001.pdf