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子どもの体験格差をなくす長野市との協働事業がいよいよスタートしました!


写真:長野市にて。左からCFC西山、地域コーディネーターの株式会社ククリテ石黒さん、CFC今井。(撮影:丸太平)

こんにちは。CFCの西山です。

私は普段、長野に住んでおり、東京・仙台・関西にいるCFCメンバーとも協力しながら、今年9月に長野市で開始した子どもの体験機会を提供する協働事業「みらいハッ!ケンプロジェクト」の運営事務局を担当しています。

この「みらいハッ!ケンプロジェクト」ですが、11月1日から長野市内でのクーポン利用が始まり、いよいよ本格的に事業が動き出しました!クーポン利用開始に先立ち10月27日には、長野市役所にて長野市・経産省・CFCの3者合同記者会見を行い、地元テレビ局や新聞社をはじめとした多くのメディアの方々にお越しいただきました。




写真:記者会見の様子。ボードを持っている写真は左から経済産業省 教育産業室長 五十棲浩二氏、長野市長 荻原健司氏、CFC今井。(撮影:丸太平)

CFCからは代表の今井が登壇し、今回プロジェクトの3つの特徴についてご説明させていただきました。

1つめの特徴はなんと言っても、子どもの「体験」にスポットを当てた取り組みであることです。スタディクーポン事業の政策化が進んだことで、自治体による「学習支援」の動きは広がってきていますが、今回のプロジェクトのような、自治体が主体となって子どもの「体験」機会を保障していこうという動きは、全国でも類を見ない先進的な取り組みだと考えています。

CFCが2022年10月に行った「子どもの『体験格差』実態調査」では、低所得家庭の小学生の約3人に1人が、スポーツや音楽の習い事に行く、キャンプに行くなどの学校外の体験がゼロであることが分かりました。

こうした実態を踏まえても、子どもが「やってみたい」と思うことにチャレンジすることを、市として後押しし、その機会を保障することの意義は非常に大きいものだと感じています。

2つめの特徴は、利用に当たっての「所得要件」や「申請」が不要で、長野市内すべての小中学生が対象となることです。従来のスタディクーポンは、経済的理由で学びの機会を得られない子どもたちをサポートすることを目的としているため、対象は経済困窮家庭の子どもたちに限定されていました。もちろん、こうした取り組みは家庭間の格差を解消するうえでも必要です。

一方で、今回のように家庭の経済状況に関わらずすべての子どもたちが利用対象となることには、制度の利用に対してご家庭や子どもの心理的ハードルが低いという大きなメリットがあります。

また、利用に当たり市への申請をしなくてよいこともポイントです。申請を不要とすることで、市や運営事務局からご家庭に利用先の紹介をする、利用を促す働きかけを行うなどの「プッシュ型」の支援が可能となります。多くの自治体事業はご家庭による申請が必要な場合が多いですが、申請のハードルをなくした今回のプロジェクトはその点でも非常に画期的なものです。

そして3つめの特徴が、地域に根ざして活動するNPOなどが「地域コーディネーター」として子どもたちと体験の場をつなぐ役目を担うことです。

今年度は、長野市で活動する団体等を地域コーディネーターに迎え、彼らにクーポン利用先の開拓をしていただいたり、長野市ならではの特色を活かした体験プログラム開発のサポートをしていただいたりします。地域で活動する人々が自ら、子どもたちの体験の場づくりに参画することで、地域ぐるみで子どもの体験機会を支える仕組みになることを目指していきます。




写真:地域コーディネーターの石黒繭子さん(株式会社ククリテ)、山本大輔さん。(撮影:丸太平)

また、貧困や障害、言語的不自由などの困りごとを抱えるご家庭の中には、クーポンを配るだけでは地域の体験の場にたどり着くことができないご家庭もいらっしゃいます。そうしたご家庭を市の支援機関などと連携しながらサポートすることで、これまでに支援が届きにくかった子どもたちとつながり見守っていくことも、地域コーディネーターの大切な役割です。

今回のプロジェクトは、経済産業省の「未来の教室」実証事業に採択されています。今後は専門家の方々からの助言をいただきながら、地域コーディネーター制度の仕組みづくりや効果検証などにも取り組んでいく予定です。


写真:県立長野図書館にて。体験プログラム提供に当たり、地域の公共施設や様々な民間団体と連携していきます。

今年7月に子どもの体験格差の解消に向けた新たな取り組みを開始してから、CFCは各地のNPOと連携しながら、子どもたちを地域の体験機会につなげるサポートをしてきました。そうした中で今回、長野市や地域のNPOと連携しながら子どもたちの体験を後押しするプロジェクトに取り組めることは、いちスタッフとしても非常に嬉しいです。

今回のプロジェクトのような、地域ぐるみで子どもの体験機会を保障する取り組みを、今後は長野市から全国に広げていきたいと思っています!

まずは、長野市や地域コーディネーターの皆さん、地域の体験の担い手の皆さんとともに、この新たな挑戦に全力で取り組んでいきたいと思いますので、引き続きプロジェクトの行方を温かく見守っていただけましたら幸いです。

(長野事業担当 西山卓郎)

※経済産業省「未来の教室」について
経済産業省は、「『未来の教室』ビジョン(2019年6月)」の実現を念頭に、様々な個性の子ども達が、未来を創る当事者(チェンジ・メイカー)になるための学習環境づくりを目指し、1.学びの探究化・STEAM化、2.学びの自律化・個別最適化、3.新しい学習基盤づくりを柱に、2018年度より実証事業に取り組んでいます。
「未来の教室 ~learning innovation~」サイト

■多くのメディアで取り上げていただいています!(一部抜粋)

・NHK「長野市 子どもの学び・体験を支援 小中学生対象に1万円補助」(10/27)
・信越放送「クーポン使って様々な体験を・小中学生を支援『みらいハッ!ケンプロジェクト』長野」(10/27)
・教育新聞「子どもの体験に使えるポイント付与 長野市が全国初の実証」(10/27)
・読売新聞「子ども体験支援詳細発表 長野市、来月開始」(10/28)
・信濃毎日新聞「子どもに「体験」を幅広く スポーツ、文化芸術、自然活動など… 「みらいハッ!ケンプロジェクト」」(10/28)
・日本経済新聞「長野市、子どもの体験や習い事支援 1万円分ポイント」(9/19)

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