CFCでの経験を活かして、これからも社会的な価値を生み出していきたい【SMBCグループからの出向社員・三島さんへのインタビュー】

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)では、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)と子どもの教育格差解消事業「CHANCE!」を実施しています。
本事業の大きな特徴は、資金面に加え、事業運営の面でもご支援をいただく点です。2023年10月には、事業運営に対する支援の一環としてSMBCグループからの出向社員を受け入れ、三島叶子(みしま・かなこ)さんがCFCの東京事務局に着任しました(出向期間 : 2023年10月〜2025年03月まで)。
本記事では、出向終了間近のタイミングでインタビューを実施しました。「出向期間中の仕事」「出向の感想」などを三島さんに伺い、「受け入れた感想」などを代表・今井に聞きました。ソーシャルセクターやNPOへの出向について興味関心をお持ちの方にとって少しでもヒントになれば幸いです。
(聞き手 : 広報チーム)
子どもの貧困や教育はとくに関心の高いテーマ
──三島さん、はじめに簡単な自己紹介と、今回の出向の経緯をお聞かせいただけますか?
三島 : わたしはこれまで、出向元である株式会社三井住友銀行にて、法人のお客さまが抱えるさまざまな課題に向き合い、その解決に取り組んできました。
また、学生時代から子どもの貧困や教育に強い関心を持ち、ボランティア活動にも参加してきた経験があります。社会人になってからも、「いつかまた、子どもたちのために何かできることはないだろうか」と心のどこかでずっと思い続けていました。
今回の出向社員の募集を知って、「これだ!」と直感的に感じました。調べていくうちに、CFCの目指すビジョンや取り組みにとても共感し、「自身も一助になりたい」との思いから本出向にエントリーしました。
──CFCに出向してきてから現在までに、どのようなことに取り組みましたか?
三島 : 最初のころは、CFCの歴史や目指していること、CFCが取り組んでいる課題に関することなど、CFCの一員として仕事を進めていくうえで必要なことを、周りのみなさんにもサポートいただきながらしっかりとインプットしました。
出向期間中いろいろなことに取り組みましたが、メインの仕事を大きく分けると、「SMBCグループとの協働事業」と「能登半島地震の緊急支援活動」です。

出向期間中の仕事について
──出向期間中、三島さんが中心となって担当されたお仕事について詳しくお伺いできればと思います。まずは「SMBCグループとの協働事業」についてお聞かせいただけますか?
三島 : CFCとSMBCグループは2023年より協働を開始し、「SMBCグループ・スタディクーポン」を提供してきました。
2024年には子どもの教育格差解消事業「CHANCE!」を立ち上げています。その際、教育格差解消に取り組む自治体への支援が新たにスタートし、その第一弾として「鎌倉市放課後エンパワーメント・プロジェクト」(通称 : エンプロ)を鎌倉市と協働ではじめました。
わたしは、「CHANCE!」というコンセプトをつくるところから関わったり、エンプロの立ち上げから関わったりと、SMBCグループとの協働事業は全般的に担当しました。


──つづいて、「能登半島地震の緊急支援活動」についても詳しくお伺いできればと思います。
三島 : 2011年の東日本大震災を機に法人設立したCFCでは、東北・関東・関西の10都府県でスタディクーポン事業を恒常的に実施しています。加えて、大規模災害により経済的困難を抱えた子どもたちに対するクーポン給付等の緊急支援活動を複数の地域で実施してきました。
これまでの緊急支援活動により得た知見を活かして、能登半島地震で被災した子どもたちへの緊急支援活動を2024年2月より開始しました。
また、同年3月より、SMBCグループとともに能登半島地震で被災した子どもたちを対象とした「SMBCグループ・スタディクーポン(能登半島地震子ども緊急支援)」の提供も行っています。
わたしは、この能登半島地震の緊急支援活動について立ち上げから担当しました。実際に現地を訪問し、現地の方々のお話をお伺いしたり、現地で活動されている団体の方々とコミュニケーションをとりながら、この事業をつくっていきました。

──そのほか、もしなにか担当されたお仕事がありましたら、ぜひお聞かせください。
三島 : CFCでは、経済的に困難な家庭の子どもたちにクーポンを提供するだけでなく、クーポンを利用している子どもたちと大学生ボランティアが定期的に面談を行い、進路・学習などの相談支援を行っています。
そのようななかで新しい取り組みとして、三井住友銀行の若手社員有志が同ボランティアとして活動に参加することになり、2025年2月にはボランティア養成研修を実施しました。
CFCの目的や取り組みに共感する仲間が増えたり、貧困・格差というテーマに関心を持つ仲間が増えたりするきっかけを、この新しい取り組みも含めて、出向期間中に関わったさまざまな仕事を通じて少しでも生み出せていたとしたら、出向者としてとても嬉しい限りです。


社会的な価値を、さまざまなセクターのみなさんと一緒に
──三島さんへの最後の質問になります。三島さんにとって今回の出向はいかがでしたか?
三島 : CFCでの業務は初めてのことばかりで、本当に多くのことを学びました。
たとえば、事業をつくっていくことはわたしにとって初めての経験でした。組織全体の意思決定に関わりながら事業を考えていくことも、いろいろなセクターの方々とコミュニケーションをとりながら物事を進めていくことも、すべてが大切な経験になりました。
また、実際にさまざまな現場に関わるなかで、貧困・格差という社会課題への解像度も上がったと思います。
今回の出向を通じて、さまざまなセクターのみなさんと一緒に社会的な価値を生み出していくためのベースとなるような経験ができました。今後にもしっかりと活かしていきたいです。

お互いを理解し、信頼関係を築いていくための大事なきっかけ
──ここからは今井さんにもお話をお伺いします。今回の出向について「受け入れた感想」をお聞かせいただけますか?
今井 : 今回の協働事業ではSMBCグループとCFCとの間でフラットな関係を築くことがひとつ大切なポイントでしたが、「信頼関係」や「本音でしっかりと議論していく体制」をつくっていくうえで出向者の存在は大きかったと思います。
SMBCグループとCFCについて両方とも理解している三島さんがいたからこそ、協働事業を一緒につくっていく素地を整えることができました。
──読者のみなさんのなかには、今回のような出向について興味関心をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。ソーシャルセクターやNPOへの出向についてどのような可能性を感じていますか?
今井 : 企業が本気で社会的な課題に取り組み、社会的価値を創造していくうえで、「非営利組織の現場や運営をしっかりと理解している人が社内にいること」は大事になってくると思います。
たとえば今回のような出向では、「出向期間中にできる限りソーシャルセクターやNPOの現場を理解し、その経験を出向元の企業にしっかりと持ち帰ってもらうこと」がポイントになります。
今回、CFCとしては、「さまざまなセクターの方々と一緒にプロジェクトを立ち上げていくことを経験しながら、その難しさなども含めて理解してもらうこと」を意識しながら三島さんを受け入れていました。
社会的な課題に取り組んでいくためには協働が不可欠です。そして協働していくためには、お互いを理解し、信頼関係を築いていくことが必要です。今回のような出向というかたちは、お互いの組織やお互いのセクターを理解しあう人たちが増えていくための、大事なきっかけのひとつになると思います。
──おふたりとも本日はありがとうございました。

※ 本記事の掲載情報は、取材を実施した2025年02月現在のものです。
※ 2025年4月より、SMBCグループからの新たな出向社員を受け入れました。本人からみなさまへのメッセージも紹介しておりますので、あわせてぜひこちらもご覧くださいませ。